人材流出で技術が中国、韓国に漏洩…「日本製半導体」が凋落した理由とは

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「第二のオイルショック」

 実際、今年前半には、「半導体不足の原因は、味の素だ」――という話がネットで飛び交った。曰く、「味の素のグループ企業である味の素ファインテクノ社(AFT)が製造しているABFという、半導体パッケージに使われる絶縁体フィルムの製造が追い付かず、品薄となり半導体不足となった」というのである。

 ところが味の素広報担当に問い合わせると、「品不足は起きておらず、事実ではございません」と言う。つまり、今回の半導体不足と味の素の半導体の絶縁体フィルムとは、まったくの無関係だったのだ。

 それでも、最近の国内の半導体不足は、「第二のオイルショックに近い」と懸念する声が出るほど深刻だ。が、半導体不足の原因の特定は簡単なことではない。それは、半導体の複雑な製造工程を見ればよく分かる。

 IC製品としての半導体とは、物理的には電子回路を基板の上に集めた「集積回路」(チップ)のことだ。

 一方、機能的には出入力、演算、制御、記憶、増幅、通信などの多くの用途に使用可能な「ビッグデータの集積手段」となる。

 さらに一般的な半導体製造のプロセスから見ると、大きく言えば、設計後、シリコンウェハーに回路を作り込む「前工程」と、ウェハーチップを切り出し、パッケージングを行って実装する「後工程」の2工程で成り立っている。

日本固有の根本的な問題とは

 例えば、後工程の作業だけを見ても少なくとも約400~600の工程があり、細かい作業を含めれば千を超える。材料やデバイスと呼ばれる半導体部品については、例えば自動車で使われるものは約1500~2千個もあり、半導体全体の種類も、制御など高機能化を促す「パワー半導体」や光を電気信号に変える「センサー半導体」、演算処理などを行う「ロジック半導体」、電源ICなどに使う「アナログ半導体」など数万種に達する。

 これらの各工程や種類ごとに「半導体不足の原因」を調べることは難しいが、実はその大本には、日本固有の根本的な構造問題が存在した。

 半導体製品を所掌する、経済産業省情報産業課の西川和見課長は語る。

「今回の国内の半導体不足には、制度的な理由と実態的な理由があると思います。制度的な理由は、主に国内外の半導体のサプライチェーンがなくなっていたこと。実態的には、パワー半導体やレガシー半導体の不足などで“パニック買い”が起きています。いま、自動車分野で起きている半導体不足は、最終製品の半導体不足というよりも、全体の需給ギャップが原因で火を噴いているわけです」

 つまり、日本国内の半導体に需要を満たすだけの供給力がない、というのだ。

 これは、日本企業の海外進出や工場閉鎖などにより半導体の国内製造能力が落ち、生産力が低下していることを意味する。

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