麻布、開成…中高一貫校でコロナ世代に起こった“奇跡”とは オンライン文化祭などで見せた驚異の適応力

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 昨春の一斉休校以来、学校現場はコロナ禍に翻弄されてきた。ハンデゆえに「コロナ世代」の烙印を押されないか懸念されたが、子どもたちは、大人以上の適応力を発揮していた。紹介するのは私立一貫校の実例だが、どんな子どもにとってもヒントになるはずだ。

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 覚えておられるだろうか。この国初の大がかりな新型コロナウイルス感染拡大防止策は、まず学校を閉めることだった。当時の安倍晋三首相が全国一律の休校要請を唐突に発したのは、初の緊急事態宣言が発出された2020年4月7日よりも1カ月以上も前、2月末のことである。春休み期間を挟んで、休校期間は最長で約3カ月間におよんだ。

 その後も学校現場は、オンライン授業への対応や分散登校など感染防止対策に追われた。世間では「GoToトラベル」が実施される一方で、部活、運動会、文化祭、遠足、修学旅行などが軒並み中止や延期に追い込まれた。現場の教員からは、日々決断を迫られる緊張感と強い葛藤が伝わってきた。私自身も、全国一斉休校以来長らく学校取材を自粛していた。先生方には取材対応に使う時間があったら、生徒たちへのケアに使ってもらいたかったからだ。

 しかし学校が新年度を迎えたころから、私の耳に飛び込んでくる現場の教員たちの声には変化も表れた。さまざまな制約下であるにもかかわらず、むしろ子どもたちのほうが、できないことを嘆くのではなく、できることを積極的に見つけて実行しようとする姿勢を見せ始めたというのだ。

 そこで今回、子どもたちのたくましさが垣間見られたコロナ禍でのエピソードを、日ごろから情報交換をさせてもらっている私立中高一貫校に文書で求めた。集まったのは、ポジティブな意味での「コロナ世代」ともいうべき子どもたちの姿だった。

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