正月気分を楽しむ「新年列車」 元日に新型列車デビュー、高校生がデザインした“寅年”ヘッドマークも

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元日に新型車両がデビューしたことも

 元日を“晴れ舞台”に新型車両がデビューしたケースもある。

 私の記憶にある限りにさせていただくと、1つ目は営団地下鉄銀座線用の01系。1983年に登場し、当初は1984年秋にデビューする予定であったが、試運転の姿を見た乗客から問い合わせが多く寄せられた。

 1983年当時の銀座線は1933~1981年に新製された車両が活躍していたが、「古い車両」と「新しい車両」の見分けがつきにくかった。人々にとって01系は斬新かつ衝撃だったのだ。

 営団地下鉄は問い合わせの声に応えるべく、1984年元日、上野0時15分発の浅草行きで01系がデビューした。詳細は拙著『波瀾万丈の車両』(アルファベータブックス刊)を御参照いただければ幸いである。

 阪急電鉄8000系は前面デザインを一新。当時の“ナウい自動車”を意識したのか、運転台の速度計はバーグラフとデジタル表示を導入した。

 2つ目は阪急電鉄8000系。1988年8月に登場し、試運転を重ねた末、1989年元日の臨時特急宝塚行きでデビュー。しかも、始発の梅田駅で出発式を開催、デビュー記念ヘッドマーク掲出という初めて尽くしの展開となった。

 わずか6日後の1月7日、昭和天皇の崩御により、ヘッドマークの掲出をとりやめ。結果的に昭和64年では唯一、そして昭和最後の新型車両デビューとなった。

【取材協力:新京成電鉄、小田急電鉄、東武鉄道、東京地下鉄】

岸田法眼(きしだ・ほうがん)
レイルウェイ・ライター。1976年栃木県生まれ。『Yahoo! セカンドライフ』(ヤフー)の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降、フリーのレイルウェイ・ライターとして、『鉄道まるわかり』シリーズ(天夢人)、『AERA dot.』(朝日新聞出版)などに執筆。著書に『波瀾万丈の車両』『東武鉄道大追跡』(ともにアルファベータブックス)がある。また、好角家の一面を持つ。引き続き旅や鉄道、小説などを中心に著作を続ける。

デイリー新潮編集部

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