「政治思想の冒険」のススメ

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 「中国は、永く続き、今も続いているデモクラシーの実例なのである」(41頁)。渡辺浩『明治革命・性・文明――政治思想史の冒険』(東京大学出版会、2021)は真顔でそのように言う。無論、中国政府のプロパガンダを真に受けたからではない。学問的に真面目な主張である。

 だが、どうすればそのような一見荒唐無稽な結論にたどり着くのか。鍵はA・トクヴィルという思想家にある。1805年に生まれ1859年に死んだ。19世紀のフランスの人である。主著としてはアメリカ滞在中の見聞を記した『アメリカのデモクラシー』が知られている。...

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