34年ぶり主演映画の「烏丸せつこ」 元夫の逮捕、自己破産を乗り越えた波乱万丈人生

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「実はすでに、田中は健さんから縁を切られていたのです。『居酒屋兆治』で下請けスタッフへのギャラの未払いがウワサとなったときに、『俺の主演映画に泥を塗るな』と絶縁されたと聞きます。もっとも、新たな映画は健さんにオファーすることもなく、実現しませんでした」

 さらに91年4月21日、田中が脅迫の疑いで逮捕されてしまう。

《犯行は田中プロ倒産の7日後、3月12日午前3時ごろのこと。牛込署によると、田中容疑者は一昨年に知り合った東京・新宿区の不動産業A社長宅を訪問、対応した妻のBさん(46)に刃渡り25センチの文化包丁を突きつけ「Aはいるか。今日、殺してやる」などと脅迫した。同月5日に2度目の不渡りを出した後、田中容疑者はA社長に対して「会社がうまくいかなくなったのはおまえのせいだ」などと、からんでいた。同容疑者は知り合って以来、A社長に手形を割り引いてもらい事業資金に充てていた。》(「日刊スポーツ」91年4月23日付)

「田中は烏丸と長女、生まれたばかりの次女の目の前で逮捕されたそうです。もっとも、自宅に警察官が来た際、烏丸は取り立てと勘違いし、『警察を呼ぶわよ』と啖呵を切ったそうです。烏丸は夫が何をやったのは全く知らなかった。当然、脅迫に使った包丁が自宅の台所から持ち出したものであることは知るはずもなく、夫が逮捕された際に包丁が押収されるまで、その包丁を使っていたといいます」

 田中は離婚届を用意して烏丸に手渡していたという。離婚は秒読みと報じられた。

愛しています

「5月、田中は略式起訴され、10万円の罰金を支払い釈放されました。会見は2人で開きましたが、烏丸は『私は今でも信頼しています。愛しています』と離婚を否定。また、田中は被害者のA社長が加害者であることを強調しました。A社長が金を融通してくれなくなったのが倒産の原因ではなく、1億2000万円の手形を貸したが連絡が取れなくなったことが原因だったと。もちろん、釈放されたからといって、借金がなくなったわけではありません。自宅には裁判所の執行官がやって来て、電機製品に赤紙が貼られるという差し押さえが繰り返されたそうです。さらに、女優業を再開した彼女の撮影現場にも、取り立てがやって来る。業界ではウワサが広まり、彼女の起用を控えるようになったそうです」

 92年9月、2人が自己破産の申し立てをしていることが報じられた。

「田中が会見を開き、自己破産の申請が事実であることを認めました。倒産時、2億円と言われた負債は7億5000万円にまで増え、そのうち烏丸の負債が1億2000万円であることを告白しました。負債は金利だけで膨れ上がったそうですから、よほど筋のの悪いところから借りていたのでしょう」

 94年1月、夫婦揃って破産者免責の決定が確定した。97年には2人で雑誌のインタビューにも登場し、円満ぶりを強調した。

《「年をとって、彼女に捨てられる心配? それは全然ないです」(笑い)》(「週刊朝日」97年5月9・16日号)

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