松平健の紅白出場で振り返る「暴れん坊将軍」豆知識 起用のワケは“史実に近い身長”だった?

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徳川吉宗の“任命責任”が問われない理由

『暴れん坊将軍』は30年832回放送され、北町奉行、勘定奉行、長崎奉行などが悪事を重ねてきた。その多くは徳川吉宗の命により、御庭番が成敗している。

 毎回幕閣の不祥事がありながら、江戸庶民などから徳川吉宗の“任命責任”が一切問われなかったのは、「病死」という届け出で処理されたからだ。『吉宗評判記 暴れん坊将軍』では、ナレーターを務める若山弦蔵が幾度も“説明責任”を果たし、視聴者を納得させている。

『水戸黄門』が行ったことのない琉球に乗り込む

 TBSの『水戸黄門』は46都道府県に足を踏み入れたが、唯一琉球(沖縄県)に向かうことがなかった。未踏の地へは徳川吉宗に託す恰好となったのか、『暴れん坊将軍III』の500回記念スペシャルでは、政事を田之倉孫兵衛や大岡忠相らに任せ、琉球の地に乗り込んだ。

 この回では過去のレギュラー出演者が花を添えたほか、エンディングの映像では、琉球の水族館を見学する徳田新之助の姿が流れた。

2009年以降の『暴れん坊将軍』

 2008年にテレビ放送が終了した後も、松平健は引き続き徳川吉宗を演じている。

 たとえば、2011年8月に公開された映画『仮面ライダーOOO(オーズ) WONDERFUL 将軍と21のコアメダル』。戦隊ヒーローと徳川吉宗が共演する前代未聞の作品で、ある意味「『暴れん坊将軍』初の劇場版」といえる。この出演以降、舞台版『暴れん坊将軍』の上演がこの年の11月から8年ぶりに再開(2011年10月27日付読売新聞の松平の発言より)し、2019年まで続いた。また2012年11月11日の「川口宿 鳩ケ谷宿 日光御成道(おなりみち)まつり」では、徳川吉宗役として参加した。当日は“ホンモノの将軍様”見たさに沿道がにぎわったことだろう。

 テレ朝は2015年4月から、早朝4時に「おはよう! 時代劇」という再放送枠を設け、『暴れん坊将軍III』以降のシリーズが再放送している。当初は別の番組も放送されていたが、現在は『暴れん坊将軍』に固定化されている。

 BS朝日も2018年4月から『暴れん坊将軍』の再放送枠を設けた。こちらは「おはよう! 時代劇」で視聴が叶わない『吉宗評判記 暴れん坊将軍』『暴れん坊将軍II』も放送されている。3年半で全12シリーズの再放送を終え、2021年12月現在、『吉宗評判記 暴れん坊将軍』が再び放送中だ。

 しかしながら、テレ朝でもBS朝日でもスペシャル版はほとんど再放送されていない。願わくは、スペシャル版も楽しませていただきたい。

岸田法眼(きしだ・ほうがん)
レイルウェイ・ライター。1976年栃木県生まれ。『Yahoo! セカンドライフ』(ヤフー)の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降、フリーのレイルウェイ・ライターとして、『鉄道まるわかり』シリーズ(天夢人)、『AERA dot.』(朝日新聞出版)などに執筆。著書に『波瀾万丈の車両』『東武鉄道大追跡』(ともにアルファベータブックス)がある。また、好角家の一面を持つ。引き続き旅や鉄道、小説などを中心に著作を続ける。

デイリー新潮編集部

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