宿敵韓国を唖然とさせた「追いロジン」…2021年の野球界を彩った“流行語”
今年の野球界で最も大きな話題となったのはやはり満票でア・リーグのMVPを獲得した大谷翔平(エンゼルス)の大活躍だろう。年末の風物詩となっている「現代用語の基礎知識選 2021ユーキャン新語・流行語大賞」でも“リアル二刀流・ショータイム”が大賞を受賞している。しかし、大谷の活躍以外にも印象に残った言葉は少なくない。そこで今回は2021年の野球界を彩ったキーワードを振り返ってみたい。【西尾典文/野球ライター】
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右手の拳を突きあげる“昇天ポーズ”
■「絶対大丈夫」(ヤクルト・高津臣吾監督)
20年ぶりの日本一に輝いたヤクルト。チームを指揮する高津監督が9月7日に首位を争う阪神戦の試合前に選手を集めて繰り返したのがこの言葉だった。この阪神との3連戦に勝ち越すと、9月14日から28日までは13試合負けなしの9連勝を記録。その後は一度も首位を譲ることなく阪神とのデッドヒートを制した。ベンチ内には「絶対大丈夫」のボードが設置され、高津監督が書いた文字をプリントしたTシャツやタオルを販売するなど、選手だけでなくファンにもその言葉は浸透。チームの一体感を生み出した高津監督はもちろんだが、それを後押しした球団のアシストも見事だった。
■「ラオウ」(オリックス・杉本裕太郎選手)
25年ぶりとなるリーグ優勝を果たしたオリックスで驚きの活躍を見せたのが杉本だ。昨年までのプロ5年間でわずか9本塁打だった男が30歳となるシーズンに突如覚醒し、32本塁打でホームラン王を獲得。チーム躍進の大きな原動力となった。
そして、そんな杉本の愛称としてすっかりおなじみとなったのが人気漫画『北斗の拳』で主人公ケンシロウの最大の敵である“ラオウ”だ。杉本自身がラオウのファンであり、その巨漢も共通しているということから定着。ホームランを打った後にはベンチ横でラオウが最期の場面で見せた右手の拳を突きあげる“昇天ポーズ”も見せている。
30歳以上でシーズン初めて30本塁打を記録したのは、和田一浩(当時西武)以来史上2人目で“遅咲きの星”としても話題となったが、来季も多くの昇天ポーズを見せられるかに注目が集まる。
信じられないものを見るかのような表情
■「追いロジン」(日本ハム・伊藤大海投手)
ルーキーながら10勝をマークし、新人特別賞も受賞した伊藤。東京五輪でもコンディション不良の巨人・菅野智之に代わって追加召集されると、3試合に登板して無失点の好投を見せて金メダル獲得にも大きく貢献した。そんな伊藤が大きく注目されたのが準決勝の韓国戦だ。
2対2の同点で迎えた7回から3番手でマウンドに上がると、ツーアウトをとったところで韓国の1番パク・ヘミンから球審に伊藤のロジンが舞ってボールが見えないというクレームが入る。
しかし、その指摘に対して伊藤は指につけるロジンをさらに追加。そんな伊藤の行動を見たパクの信じられないものを見るかのような表情が画面に映し出されて話題となったのだ。
この一連の流れに対して伊藤は自身のTwitterで“#追いロジン”とツイート。その後には「付けた際の舞ってる粉を指摘されたのかと思い、少し間を開けてくれと言う指摘だと思いました」と見解を述べている。オリンピック準決勝の緊迫した場面にも動じることなく、またその後にもしっかり自分の言葉で説明する姿勢に感銘を受けたファンも多かったはずだ。
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