辛口コラムニストが選ぶ2021年「連ドラ」ワースト3 2位「レンアイ漫画家」、1位は意外な高視聴率作品
いいドラマを作るには
アナ:なるほど。いま挙げていただいた理由は、林さんが日本のドラマが駄目な理由として常日頃から指摘している点ですね。
林:そうそう。だからもう繰り返す気が失せてます。詳しく知りたいという奇特な方は、デイリー新潮で過去のワタシのドラマ評をお読みください。「批判ばかりで代案なし」なんていう馬鹿なツッコミがコッチにも飛んできそうな嫌な時代になったから、あらかじめ返事をしておこうかな──「代案ならもうとっくにデーブが出してくれてるよ!」
アナ:ああ、以前話題になって林さんも賛同していたデーブ・スペクターさんのツイートですね。「つかぬ事を言いますが、全てのテレビ局が全てのドラマを止めた方がいいと思います。進化してないし海外ドラマから何も学習してないし、/相変わらず視聴者を無視する芸能プロダクション先行で不適切なキャスティング。2年間の休憩してリセットする事を勝手ながら勧める。/オチがなくてすみません」という。
林:それそれ。あのツイートをデーブがしてからもう4年半以上が経って、その間にはコロナ休止もあったけれど、いまだにリセットもできていなければ進化も学習もできていない、その結果が今年のワースト第3位の5本だということですわ。
ワースト第2位
アナ:続いて、2021年連ドラワースト3、第2位の発表をお願いします。
林:今年のワースト連ドラ、第2位は……
●「レンアイ漫画家」(4月期/フジ系・共同テレビ制作/木曜劇場/5・4%)
……です。
アナ:おお、普通に1本だけ挙げられると、なんだか安心する一方で、残念な気もしてしまうのが不思議ですが、それはともかく、「レンアイ漫画家」は視聴率も低いままで終わりました。鈴木亮平さん主演にもかかわらず、全話平均の世帯視聴率は5・37%です。
林:いや、鈴木亮平主演だからこそ、出来も数字も悪かったんだと思うよ。
アナ:え? 林さん、鈴木さんの演技が悪かったと?
林:いやいや、彼はなかなかの役者だと思ってます。薄切りで口に含むとすぐにとろけて消えるようなイケメンばかりが浮上してくるニッポンの連ドラ主演男優の中で、噛むと歯応えがあって噛めば噛むほど味の出る、塊感のある肉々しさは貴重だし。
アナ:その点は同感です。
林:でしょ? 顔立ちは不器用だが芝居は器用。
アナ:いや、顔立ちが不器用だなんて私、言ってませんよ。
西田敏行の再来?
林:でも、ここしばらくのニッポンの民放プライム帯で放送されてきた連ドラ、しかも恋愛モノの主演男優たちを対象にしてパッと見の非イケメン度、見た目のジャガイモ度でランキングを作ったら、鈴木はトップクラスでしょ。
アナ:身長186センチ、ニッポン初の「水着キャンペーンボーイ」、東京外大卒、英検1級の文武両道で……
林:でも、才色兼備とは言わないよね、やっぱり。
アナ:ええ、まぁ。
林:無理しなさんなって。ワタシにとっちゃ鈴木亮平は西田敏行の再来。だから、西田敏行が演じてそぐわないような役はやってはいけないのよ。だから、「ルパン三世」スピンオフの実写版「銭形警部」(17年・日テレ系・Huluほか共同制作)や大河ドラマの「西郷どん」(18年・NHK)、「テセウスの船」(20年・TBS系・大映テレビ制作)の死刑囚あたりのハマり役っぷりを見ても、彼がそれぞれの役にハマっているというより、銭形警部を演じる西田敏行、西郷隆盛を演じる西田敏行、佐野文吾を演じる西田敏行を、鈴木がシミュレーションして見せてくれているのだという面倒な構図を妄想しちゃうくらい。
アナ:鈴木さん、確かに西田さんの若いころの面影がありますが、それは妄想が過ぎます。
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