ラッパー・SKRYUが明かす、初めてのMCバトルでボコボコにされた日 相手ラッパーのアンサーで頭が真っ白に

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初めてのサイファーと大会

 さまざまなMCバトル大会に出場し瞬く間にスターダムにのし上がったラッパーのSKRYUさん。いまたくさんのひとの心を震わせる彼が、4年前に初めてラップを披露した際にくらった鮮烈な“言葉のパンチ”とは。

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 大勢のお客さんの注目を恣にし、自分の放つ一言一句に客席が熱狂していく……この快感は間違いなく誰もの人生を狂わせる。

 僕の人生を狂わせたMCバトルとは、DJがかけるビートに合わせて、ラッパーが即興のラップを繰り広げそのスキルを競い合うことを指す。

 高校生の時から黒板の前で、友達と真似事をして遊ぶぐらいMCバトルには興味があった。地元の島根県を飛び出し、愛媛県の大学に在学中、ラッパーたちに交じって初めてフリースタイルラップを披露したのが大街道サイファーだ。どうやら数日後に大きな大会の予選があるようで、周りのラッパーはその話に夢中になっていた。

「絶対出よう!」――心の中では爆速で出場を決意したけれど、下手くそだったし恥ずかしかったから、周りには「バイト終わって間に合えば出るつもりです」と言い訳をしていた。だが実際はバイトが終わり次第、自転車を漕いで全速力で予選会場に向かった。

 グレーのセーターは990円。黒縁メガネに、黒のリュックサック、某衣服量販店のユニフォーム姿のままで乗り込んだ会場は、自分とは真逆のいわゆるイケイケな人たちで溢れかえっていた。とにかく熱気がすごかった。ダサいファッションの新参者のことなど誰も気にも留めていないだろうと思っていたけれど、僕も出る気満々だった。壁に貼られたトーナメント表には空白のエントリー枠がまだちらほら確認できた。

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