妻の不倫を疑い、尾行した夫 トイレで着替え“別人”になった彼女が向かった想定外の場所は

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欺瞞に満ちた仮面夫婦

 話は一気に離婚の方向に行きかけていた。だがそこへこのコロナ禍が訪れた。そして離婚の話は停滞したままだ。弘樹さんは風俗通いをやめ、妻もアイドルの追っかけをしなくなっている。

「娘の学校も一時期、休校になりました。妻は職場から自宅待機を言い渡された。僕も週に3回の出社になった。急にいろいろなことが変わって、娘の気持ちが不安定になったので、僕も妻も娘のことを第一に考えようと、そこだけは意見が一致したんです」

 夫婦の関係が破綻していることを娘には感じてほしくなかった。だから今は、夫婦はごく普通に暮らし、ごく普通に会話も交わしている。

「妻は『おとうさんのいびきが大きすぎて眠れないから部屋は別にした』と娘に説明したようです。それ以外は元通りの生活ですが、欺瞞に満ちた仮面夫婦であるのは確かですよね。この先、僕らがどういう道を選択するのかはわからないけど、ここまで来たら娘が20歳になるまではこのままでもいいのかもしれない。そんなふうに思っています」

 コロナ禍でもがんばった弘樹さんの社内の評価はまた上がっている。いつか、妻が考えるより出世した形で自分から離婚を切りだそう。弘樹さんにとって、今はそれだけが支えとなっている。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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