“自由契約”秋吉亮と牧田和久 球界を代表する「変則右腕」が再起できる球団はあるのか

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ケラーの実力は未知数

 セ・リーグでもう1球団、2人の獲得を検討しても面白そうなのが阪神だ。21年のチーム防御率はリーグ2位の数字を残しているものの、救援防御率に関してはリーグ5位となっている。「不動の守護神」として活躍していたスアレスがメジャーに移籍したことで、救援陣はより厳しい状況となっている。

 新たな抑え候補として、新外国人のケラーを獲得しているが、メジャー通算で44試合登板、1勝1敗、防御率5.83と、その実力は未知数である。また、リリーフで変則タイプの右投手は、ルーキーの岡留英貴くらいしか見当たらない。牧田、秋吉ともに被本塁打が多いタイプだけに、ホームランの出づらい甲子園が本拠地となることのプラスも大きいはずだ。牧田がメジャーから日本に復帰する時には阪神もオファーを出したこともあるため、再び獲得を検討することも十分に考えられるだろう。

変化に乏しいという印象

 最後に候補として挙げたいのが広島だ。今年は栗林良吏、森浦大輔といったルーキーの活躍はあったものの、21年のチーム防御率はDeNAに次ぐリーグワースト2位であり、投手陣は不安要素が多い。リリーフ陣を見ると、島内颯太郎やコルニエル、ケムナ誠などスピードのある投手は少なくないが、いずれもオーソドックスなオーバースローで変化に乏しいという印象は否めない。

 ここに秋吉や牧田のようなタイプが1人加わることで、中継ぎ陣のバリエーションが広がることは間違いないだろう。投手陣の最年長は、22年シーズンで33歳となる野村祐輔と菊池保則であり、DeNAと同様に若い投手陣だけに、ベテランが加入すれば、チームとしてプラスアルファも期待できるだろう。

 中継ぎ投手は成績が落ちると見切られるのも早いが、秋吉は大学卒業後社会人で3年、牧田は4年間プレーしてからプロ入りした遅咲きの投手で、まだまだ余力は感じられる。その個性的なフォームと打者の手元で生き物のように動くボールを武器に、再びプロのマウンドで輝きを取り戻してくれることを期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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