“自由契約”秋吉亮と牧田和久 球界を代表する「変則右腕」が再起できる球団はあるのか

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アンダースローという希少性

 このオフ大きな注目を集めたのがFA権を取得しながらも、日本ハムから“ノンテンダー”という形で自由契約となった大田泰示、西川遥輝、秋吉亮の3人である。大田はDeNA、西川は楽天がそれぞれ獲得を発表したが、秋吉についてはいまだ獲得を検討している球団の具体名は聞こえてこない状況だ(2021年12月26日現在)。ヤクルト時代は2度の70試合以上登板を記録し、トレードで日本ハムに移籍した19年には25セーブをマークするなど抑えとしても活躍しているだけに、ここまで所属先が決まらないのは意外な印象を受ける。【西尾典文/野球ライター】

 そして、もうひとり、同じく実績十分の変則右腕で去就が注目されるのが、楽天を自由契約となった牧田和久だ。3年ぶりの日本球界復帰となった20年は52試合に登板して2勝2セーブ22ホールドをマークし、健在ぶりをアピールしたが、翌年はプロ入り後NPBでは最低となる17試合の登板に終わっている。

 秋吉と牧田が持つアンダースローという希少性と豊富な経験は魅力だ。彼らの獲得を検討するならば、どの球団が最適なのか、現在の戦力とチーム状況から探ってみたい。

変則と言えるのは三上だけ

 投手陣が苦しいチームとして真っ先に思い浮かぶのはやはりDeNAだ。セ・リーグでは唯一チーム防御率が4点を超え、先発、救援ともにリーグワーストの数字となっている。ドラフトでは徳山壮磨、三浦銀二と2人の大学生右腕を指名しているが、ともにオーソドックスなオーバースローであり、また4年時のピッチングを見ると即戦力としては大きな期待はかけづらい。

 今のところ、22年シーズンの投手陣で上積みとして期待できるのは、新外国人のクリスキーだけという状況だ。現有戦力のうち、右のサイドスローは伊勢大夢と三上朋也がいる。ただ、伊勢は比較的オーソドックスなフォームの本格派であり、変則と言えるのは三上だけである。結局、ソフトバンクに移籍することになったが、中日からFA宣言した又吉克樹の獲得も検討していたという報道もあり、それを考えても秋吉、牧田の入る余地は十分あるように感じられる。さらに、投手陣の年齢構成を見ても、34歳以上のベテランは1人もいないだけに、プレー以外の面でも経験豊富な投手が1人加わることのメリットも大きいのではないだろうか。

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