54歳「三浦知良」は何処へ J3下位チーム、JFLなら「茨の道」という声が上がるワケ
“サッカーの質”が壁
正直、当時は50歳までプレーするとは思わなかった。しかし17年3月12日のザスパクサツ群馬戦ではゴールまで決めている。そして今月14日から22日まで、“チーム・カズ”で自主トレを実施して、スポーツ紙やネットメディアに話題を提供した。カズでなければ、どこも取り上げなかっただろうから、「キングは健在」と言える。
去就については「年内に決める」と断言した。55歳を迎えても、サッカー選手であるために厳しいトレーニングを欠かさない。それはカズの美学と言っていいだろう。ストイックな生活パターンが身体に染みついていて、他の選択肢――サッカー選手でなくなること――は考えられないのかもしれない。
ただ、どのクラブに移籍するにしても、“茨の現実”が待っているのは間違いないだろう。それは、カテゴリーが下がれば下がるほど、サッカーの質も変わってくるからだ。
J1でも上位のチームと下位のチームでは、ボール保持率、いわゆるポゼッションの時間に長短の差がある。この傾向はJ2、J3になればなるほど顕著だ。なぜなら、ボールを保持したくてもその技術がないからで、その結果、ロングボール主体の攻撃になる。J3の下位チームになればなるほどキック・アンド・ラッシュの体力勝負のサッカーになる。かつてFC東京はU―23チームでJ3リーグに参加していたが、若手選手は「J1リーグの方が体力的に楽です」と話していた。
古いボールを使うFCも
その傾向は、JFLや地域リーグになればさらに拍車がかかるだろう。CB(センターバック)ならそれほど走らなくてもいいが、SB(サイドバック)や前線の選手は攻守に激しく上下動する必要がある。そうした体力勝負のサッカーに、55歳を目前にしたカズが適応できるのかどうか。監督の起用法にもよるが、厳しい現実が待っているとしか思えない。
J3下位のチームはフィジカル的に脆弱で、試合前の練習を見てもボールが古く、その数が少ないチームもある。それだけ資金的に苦労しているということだ。ほとんどの選手がアルバイトをしながら生計を立てている。
その一方で、今年は関東リーグ1部で2位となり、JFLへの挑戦権を逃したブリオベッカ浦安は元日本代表の都並敏史氏が監督を務めているが、選手はスクールの指導者などサッカーと仕事を掛け持ちしている。以前GMに話を聞いたところ、「ウチはJ3の下位クラブより良い給料を払っている」と話していた。Jリーガーと言えば聞こえはいいが、実態は千差万別だ。
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