作曲家「すぎやまこういちさん」の信念 従軍慰安婦問題で米紙に全面広告【2021年墓碑銘】
「まさにファシズムです」
この20年ほどは言論活動でも注目された。2007年には慰安婦問題に関してワシントン・ポスト紙に全面広告を掲載する中心的な役割を果たす。
政治評論家の屋山太郎さんは当時を振り返る。
「慰安婦問題は、日本が事なかれ主義を続けた結果、一方の主張が事実のように認識される事態になったと本質をとらえていた。歴史を歪め、日本を貶める動きに事実を示すことで反論しようとした。全面広告に約2千万円もかかりましたが、さらりと負担された」
日本には自国の弱体化を図ろうとする奇妙な勢力がいる、とも指摘している。
外交評論家の田久保忠衛さんも言う。
「御自身で歴史をよく調べていた。抽象論を語らず、率先して行動する。右翼よばわりされ、音楽活動に影響が出るのではと思いましたが、国を愛しての行動だからと信念を持っていた」
愛煙家で、週刊新潮の取材に、「〈健康増進〉という建前で、法律や増税で個人の行動を国家が制限するのは、まさにファシズムです」と語り、データを示して反論。作曲同様、妥協はしなかった。
ドラクエをライフワークと語り、作曲に加えオーケストラによるコンサートを開き、指揮者も務める。感受性の大切さを唱えていた。
昨年、文化功労者に選ばれ、現在制作中のドラクエ12作目の作曲にもかかわるが、9月30日、敗血症性ショックのため、90歳で逝去。
「音楽とゲームという才能の2本柱がドラクエで見事に融合。遊び心のある天才でした」(安倍さん)