映画プロデューサーが明かす「江口のりこ」のずば抜けたプロ根性 “濡れ場”の撮影でも堂々と

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 表情豊かでもない、饒舌でもない。不思議な存在感と個性的な容貌で注目を集める女優、江口のりこ(41)。「SUPER RICH」(フジテレビ系)では、ゴールデン・プライム帯の連続ドラマで初の主演を果たして話題に。

 そんな江口の魅力を早くから見出していたと豪語するのは、かつて文部官僚として“ゆとり教育”の旗をふった寺脇研氏(69)。現在は映画評論家やプロデューサーとして活躍中だ。

「僕が江口さんの存在を知ったのは、彼女が映画に出始めた2002~03年頃。当時は三池崇史監督のホラー映画『着信アリ』や矢口史靖監督の『スウィングガールズ』などに端役で出演していた程度でした。ところが、04年に公開されたラブコメ作品『月とチェリー』における演技が実に素晴らしかったんです」

 江口が演じたのはプロの官能小説家として活躍する女子大生。大学では官能小説サークルに所属し、新作のテーマを求めて毎年、童貞の新入生を弄ぶ役柄だ。

「セリフの言い回しや所作に“この女優は本物だ!”と鮮烈な印象を受けましてね。以降、自主制作モノなど小規模の作品も含めて、彼女の出演作は必ず見るようになりました」

 いずれ一緒に仕事をしたいと願い続け、8年後に機会に恵まれた。

「僕が初めて企画・プロデュースした作品が、坂口安吾の短編を原作とする13年公開の『戦争と一人の女』です。主人公は、男に妾として囲われながら酒場を切り盛りする女性。性に奔放なのに不感症で、戦時中の世情や空気に流されないクールなイメージで、真っ先に浮かんだのが江口さんでした。監督やスタッフも、すぐに僕の意見に賛同してくれました」

 撮影現場での江口は、寺脇氏たちの想像を超えて、期待に応えてくれたという。

「何度か濡れ場があって、肌を露出する機会も少なくなかった。そういうシーンの撮影になると“人払い”といって、監督が現場スタッフの数を最低限まで減らすよう指示するんです。ところが江口さんは“みんなで良い作品を作ろうとしているんですから、そんな気遣いはいりませんよ”と言う。当時、彼女は31歳の若さでしたが、どこか肝が据わっているというか、演技にかけるプロ根性はすでに成熟していましたね」

 いまや江口は超の字がつく売れっ子。寺脇氏、慧眼といえそうだが、

「製作者として、映画をヒットさせられなかったことがいまでも悔しくてね。あの作品がもっと多くの人の目に触れていたら、彼女はずっと前にブレークしていたはずなのに……。

週刊新潮 2021年12月23日号掲載

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