戦力補強は2種類ある…巨人はなぜ西川遥輝を諦めたのか【柴田勲のセブンアイズ】

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今季は9月以降の歴史的大失速がすべて

 松原が1番に定着し、吉川尚も外されない選手になれば、V9時代の私と土井(正三)さん、私と高田(繁)のようにコンビを組み続けることも可能だ。

 巨人は今後も補強に向かい獲得調査を続けるだろう。投手では前マリナーズのマット・アンドリース投手と来季の契約を結んだ。野手でも同様だ。ウォーカーはあまりにも未知数だ。松原には誰が入団しても経験を生かして実力で1番をもぎ取ってほしい。

 今季の巨人を振り返ると、9月以降の歴史的大失速がすべてだった。なんせ9、10月は10勝25敗(8分)で、この間には10連敗があった。一番大事な時期に戦力全体がガタッと落ちた。あの時期、巨人の戦力はセで最悪だったのではないか。

 それに一度指摘したが、菅野が6勝7敗に終わったことが大きかった。昨年は14勝2敗で12の貯金を作ったが、右ヒジや足の違和感などで4度離脱した。戸郷翔征、高橋優貴は前半戦活躍したものの、後半戦失速してしまった。

 外国人選手のジャスティン・スモーク内野手、エリック・テームズ外野手の2人がそろって途中帰国、新たに獲得した外国人選手も帰国した。

 本当に様々なことがあった。来年はいい年であるようにと願う。まあ、それにしても巨人は中途半端な高額選手を諦めて、自前の選手を育ててほしいね。

※プロ3年目の13年から9年連続で2ケタ盗塁をマーク、4度のタイトルを誇る。通算311盗塁を記録。プロ11年間で通算の出塁率は.380。

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長を務める。

デイリー新潮編集部

2021年12月26日掲載

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