【極秘文書入手】3回目のワクチン接種は“在庫頼み”の状況 政府の致命的失策が発覚
ファイザーが圧倒的
1、2回目の個別接種でファイザー製のワクチンのみを使用してきた兵庫県播磨町の担当者はこう語る。
「町民からは“ファイザーを打ちたい”という声が圧倒的です。心筋炎など、モデルナ製ワクチンの副反応を恐れる高齢者は少なくありません。ただ、供給割合を考えると町民の希望には応えられそうになく、非常に残念です。また、ファイザー製とモデルナ製では保管する温度が異なるので新たな冷凍庫が必要になりますし、投与量や希釈の有無にも違いがある。2種類を使用すればミスが起こりかねないと心配しています。前倒しするにしても、ワクチンがいつ、どれくらい供給されるのかさえ不透明な状態ですからね……」
まだ計画の立てようがない様子。とはいえ、3回目のワクチン接種と経口薬が、第6波を最小限に抑えるカギとなるのは間違いない。
東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅教授が言う。
「日本では1月から感染者数が増加し、2月頃に第6波が起きる危険性があります。ただ、オミクロン株のデータはまだ限られているものの、3回目接種で抗体価を増やせば、重症化を防ぐ効果は向上します」
他方、経口薬の重要性についても指摘する。
「承認間近のモルヌピラビルは入院・死亡リスクを30%下げるとされ、ファイザーの経口薬は同じく9割近く軽減させるといわれています。これまでは感染者数の増加が入院患者数の増加に直結し、医療体制を逼迫させてきました。しかし、自宅療養中の患者が使える経口薬が登場すれば、状況を一変させる期待が持てます。今後はコロナ治療の担い手が、大手の専門病院から身近な町のクリニックに代わることも考えられる。経口薬は医療体制を守る“壁”となるかもしれません」
第6波を抑えるために必要な措置は
しかし、圧倒的に高い効果が期待されるファイザー製経口薬の納期が確約されていないのは前述の通り。浜松医療センター感染症管理特別顧問の矢野邦夫氏の見解はこうだ。
「WHOが毎週更新している最新データを見る限り、オミクロン株は感染力ではデルタ株を上回るものの、重症化率はそれほどではないと思われます」
ドイツの保健相に就任したカール・ラウターバッハ氏は、オミクロン株が感染力を高めた反面、致命的ではなくなったとして、「新型コロナの大流行の終息を早める“クリスマスプレゼント”になるかもしれない」と語ったという。だが、
「重症化率が3分の1になっても感染者数が3倍になれば医療体制への影響は変わらない。第6波を抑える意味でも、3回目接種を進めるべきです」(矢野氏)
いずれにせよ、ワクチンと飲み薬が第6波対策の要であることは事実。それを滞りなく調達するための交渉を担うべきは岸田政権だろう。事は国民の命に関わる大問題。これまで以上に“政治”の責任が重くなることは言うまでもない。
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