【極秘文書入手】3回目のワクチン接種は“在庫頼み”の状況 政府の致命的失策が発覚

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“在庫頼み”の危うい綱渡り

「率直に言えば、厚労省の説明資料は努力目標に過ぎない代物。ワクチンと飲み薬の納期に関して、ファイザー社との前倒し交渉が全く進展していないことを示す内容でした。この説明に対し、“前倒し接種”に躍起な木原さんをはじめとする官邸側が激怒。“これでは前倒し接種を始めても早々に行き詰まる”“厚労省は岸田政権発足から2カ月余り、何をしてきたのか!”というわけです。結果、翌日の対策本部の会議は中止に追い込まれてしまった」(同)

 国のコロナ対策を先導すべき会議がドタキャンされる異例の事態――。

 だが、製薬会社との交渉の遅れは、役人に責任転嫁して済む話ではないのだ。

 厚労省は3回目接種のため、22年中に1億2千万回分のワクチン供給を受ける契約をファイザー社と結んでいる。とはいえ、厚労省関係者によれば、

「“何月に何万本分が納入される”といった具体的な見通しはほとんど立っていない。事実上、納期はファイザー社への“白紙委任”状態が続いているのです」

 先の資料に記載された、3回目接種に充てるモデルナ社の〈1700万回分〉は、1、2回目の接種で使い切れなかった在庫から計上されたもの。また、ファイザー社のワクチン〈2400万回分〉は1600万回分の在庫と、22年1月中に自治体に配布予定の800万回分を合計した数字を指す。

 要するに、新規ワクチンの確保はほとんど進んでおらず、前倒し接種が“在庫頼み”の危うい綱渡りであることが明らかとなったのである。

ひとえに政府の手腕

 目下、欧米各国ではオミクロン株が猛威を振るい、ワクチン確保競争も熾烈を極めている。そうした事情を踏まえても、

「やはりメガファーマ(巨大製薬企業)との交渉には、政治のリーダーシップが不可欠です。そもそも、ワクチン供給を巡る契約では具体的な納期を月単位で明記しません。だからこそ、菅政権では、和泉洋人首相補佐官らが下交渉を行い、河野太郎ワクチン担当相、そして、菅義偉前総理がCEOとのトップ会談といった交渉プロセスを踏んでワクチンを確保してきました。22年に供給が予定されるファイザー、モデルナ両社との契約はいわば菅政権の遺産。本来であれば、その契約をもとに岸田政権が先頭に立って“納入前倒し”と“納期の確定”を強く求めなければならなかった。しかし、岸田政権は発足から2カ月余り、“3回目接種の前倒し”を喧伝する一方で、ワクチン対応を厚労省に丸投げしてきました」(同)

 医師でもある国民民主党の足立信也参院議員は、次のように指摘する。

「3回目の接種に向けて世界中でワクチンの需要が高まるなか、何よりも政府がすべきことはワクチンの数を確保すること。それはひとえに政府の手腕にかかっています。3回目の接種が必要になることはかなり前から明らかだったはず。第5波が落ち着いているうちに、積極的に準備を進めておくべきでした」

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