いしだ壱成、林家三平…「親ガチャ」で悩める2世たちに足りないのは何なのか
「親ガチャ」と言う人に聞いてみたい。2世タレントたちは、「当たり」なのか「ハズレ」なのか。例えば、3度目の離婚となったいしだ壱成さん。離婚に際し、2度の離婚歴がある父・石田純一さんと自身を重ね、「ぼくと父は何か欠落している」とコメント。同じ頃、神田沙也加さんの急逝や林家三平さんの笑点卒業も重なった。2世の「親の七光り」ばかり取り沙汰されるが、色濃い闇についても考えさせられる。
親の知名度で芸能界入りする2世は多いが、箸にも棒にも引っかからないタイプも珍しくない。一方でいしださんは、役者として成功した幸運なパターンだ。「放課後」「未成年」「聖者の行進」などの話題作に出演し、鮮烈な存在感とおしゃれな雰囲気で90年代のドラマシーンをリード。人気女優との交際も報じられ、父に並ぶモテっぷりも有名だった。うつ病の発症や薬物事件により俳優業から遠ざかったが、いまだに彼の俳優としての才能を惜しむ人も多い。
ただそれだけ、2世として第一線に立ち続けることの重圧に苦しんだのだろう。親と同じ職業を選び、良くも悪くも比べられ続ける人生。父の純一さんは俳優業が下火になっても、不倫騒動やら都知事選出馬やら話題を振りまき続けてきた人だ。壱成さんのうつ病が悪化したのも、純一さんに億単位のギャラを使い込まれたことが発覚したからだという。3年前には「父親に捨てられたという感覚がある」「まだオヤジとは呼べない」と複雑な思いを明かしていた。
しかし壱成さんの振る舞いは、不思議なほど父親と似ている。女性問題、詐欺の被害、本業以外に目が向く性格、トラブルの経験談で注目を引くやり方。仕事を干され、タバコ代が生活費を圧迫するようになっても禁煙せず、パートナーに愛想を尽かされてしまった姿は、コロナ禍でも度々ゴルフや酒席に出向いていた純一さんと重なる。
親の成功体験をなぞる。2世にとっては一番楽だが、一番自分の首を絞めることにもなる道だ。親を真似たところで、自分も成功するとは限らない。不運ととるか才能の無さととるか、いずれにせよ自信を失うのは確かだろう。世間もここぞとばかりに叩くし、負のスパイラルの始まりだ。だから2世タレントの分かれ目は、親や親との成功法則から、いつ距離を取るかがポイントのように思う。
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