「アベノマスク」検品経費21億円、保管費用6億円で蒸し返される「受注会社」の“恥ずかしい過去”

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蘭、バラ、カーネーション、そしてマスク?

 さらに加藤厚労相はその「輸出入を担っていた会社」は生産輸入の担当をしており、一方のA社は「マスクにおける布の調達、あるいは納品時期等の調整」をしている、と説明した。

 大串議員は「今になって新しいことが言われて、極めて不透明な感じがする」と畳みかけたのだが、結局二つの会社が介在する意味は判然としなかったようだ。

 不透明な印象を強くしたのは、加藤厚労相が存在を明らかにした「輸出入を担っていた会社」もまた、マスクと関係あるようには見えなかった点だった。この会社のホームページにある説明では、同社は「切花の輸入」がメインのビジネスでシンガポール産の蘭から始まり、500を超える切り花、葉類を取り揃えている、という。ホームページには、ケニアやインド、オランダ産のバラやコロンビア産のカーネーションなど、美しさを競うように写真が並んでいる。とても魅力的なラインナップだが、どう見ても布マスクとは関係ない。ここ数年の売上高は13~16億円で推移している。

 もともと生花などを扱う業者がどうしてマスクにかかわるのか?実際にこの会社に聞いてみると、取締役が対応し、

「元々、A社の社長さんとは付き合いがあります。私の母方の親戚に当たるんです」
 とのことだった。

通関業務をお手伝いしてもらえませんか

「先方の社長さんから、(マスクをやることになったので)通関業務をお手伝いしてもらえませんかという声掛けがあった、それだけです。ウチもこのコロナの件で開店休業状態が続いているのも事実です」

 もちろん、コロナ禍で苦しい中、新しいビジネスチャンスを見出すのは悪いことではない。が、当時、アベノマスク発注には疑念の目が向けられていたこともあり、この会社は2006年2月に植物検疫法違反の容疑で千葉地検に書類送検された過去があることも掘り出されてしまった。当時の記事によると、害虫が発見された植物を適切な消毒をしないで輸入しようとした、という容疑である。消毒命令が出されていたのに、ほかの植物とすり替えた、というからうっかりミスではないだろう。

 同様に、A社の過去も判明した。2018年に脱税容疑で懲役1年6カ月、執行猶予3年の判決を受けていたのだ。もっとも、この件がマスクビジネスにつながったという。さる関係者の解説。

「同社はそこから出直しの意味合いもあってベトナムに出て行き、バイオマス発電用木質ペレットの輸入をしていました。実はベトナムってマスクの製造会社が多いらしいんですよ。コロナで輸出入も含めて色んなものがストップしている中で、社長は『機を見るに敏』なタイプなんで、チャンスだと思ったのかもしれませんね」

 繰り返しておくが、民間企業がビジネスチャンスを見出してチャレンジするのは決して悪いことではないし、責められる話でもないだろう。ただし、発注する国側はチェック機能や計画性が求められるのは当然のこと。無駄になった億単位の金は返ってこない。

デイリー新潮編集部

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