「アバランチ」は令和のドラマ史に残る快作 最終回から読み解く藤井監督のメッセージ

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※ドラマ「アバランチ」最終回の内容を含んでいます

 ハードボイルドタッチの連続ドラマ「アバランチ」(制作・関西テレビ、フジテレビ系)が12月20日、最終回を迎えた。放送が終わった途端、SNSにはアバランチの中心人物で主人公の羽生誠一(綾野剛、39)との別れを惜しむ声が数多く寄せられた。

 近年の連ドラには珍しくメッセージ性の色濃い作品だった。社会派エンタテインメント映画「新聞記者」(2019年)で国内映画賞を総ナメにした藤井道人監督(35)がチーフ演出家を務め、脚本家陣にも加わった作品らしかった。

 最もメッセージが鮮明になったのは最終回のラスト近く。警察権力を濫用し、官僚トップの官房副長官に登り詰めた大山健吾(渡部篤郎、53)の悪事をアバランチが暴いた後、そのリーダーである山守美智代(木村佳乃、45)が、毎朝ジャーナルの遠山亮記者(田島亮、34)のインタビューにこう答えた。

「アバランチとは私たちと同じ、この国に住む名もなき人間たちです」(山守)

 権力の濫用者を歓迎する人間はいない。だから皆がアバランチに成り得るということだろう。

 同じくメンバーの明石リナ(高橋メアリージュン、34)はこう語った。

「長いこと私たちは行動することを忘れていたんだと思います。自分が動いても何にも変わんないって」(リナ)

 この国のカタチを決めるのは一人ひとりの国民なのだと言わんばかりだった。

 これらの言葉は物語の流れの中でのセリフに過ぎないのか、それとも藤井監督から為政者や官僚たちへ向けての牽制球の意味も込められていたのか。

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