妻の連れ子に迫られて…狂った「再婚サラリーマン」の家庭生活 そして残った大きな謎
「女として見てよ」
娘はその後、高校を中退した。別の学校の男子生徒とつきあっていたのだが、その生徒の友だちとも関係をもって破局したと、娘の友人から彩乃さんが聞いたという。
「妻はショックを受けて、事業拡大を中断しました。なるべく家にいる時間を増やして娘の心に寄り添いたいと。僕もそうしたかったけど、なかなかできなかった。ただ、娘は彩乃に『私のために仕事を減らさないで』と懇願したそうです。自分のために親の人生を変えたくない、と。もしかしたら僕たちの結婚に対しても娘はそう思っていたのかもしれません。娘のことがわからなくなりました」
透さんが娘と話し合ったときも、「自力で高卒認定をとって大学に行く」と明るく話したそうだ。やっていることと本人の言葉がかみ合っていないと感じたものの、どう接したらいいかがわからず、透さんは困り果てていた。
「そんなとき義母が体調を崩して入院したんです。彩乃は再び、事業拡大に動いていた。僕がなんとか時間を作り出して息子の面倒を見ることにしました。娘は『私も手伝うから大丈夫』と妻には言っていたようです。ところが……」
透さんはいきなり言葉を切った。話そうかどうしようか迷っているようだった。こういうときはただ待つしかない。
「思い出したくないんです。娘のためにも。ただ、話すと決めて来たので……。ある日、息子を寝かしつけてからリビングに戻ってくると、娘が『ねえ、とうちゃん』と話しかけてきた。どうしたと聞くと、僕の隣に移ってきてしなだれかかってきたんです。彼女は風呂上がりで、シャンプーの匂いがぷんと漂ってきました。手足が長くてきれいでね。『私、女として魅力ない?』と娘が言う。そんなことないよ、これから大人の女になったらきっとモテると思うよというと、『本当?』と僕の顔を覗き込む。『やめなさい』と言うのが精一杯でした。彼女にいきなりキスされて、思わず立ち上がった。『きみは僕の娘だよ』と大声を出したら、『女として見てよ』って。何を言ってるんだ、僕はきみのお母さんの夫なんだよと。『わかってるわよ、そんなこと。だけど好きなの』と言われて頭がこんがらがりました。そんなはずはない。からかっているだけだと思いましたが、彼女があまりに真剣に言うのと、目にいっぱい涙をためていたんです。『この子は孤独なんだ』と感じたから、しっかりハグしました。『娘として愛してるよ』と。だけど彼女は納得しなかった。そのままプイと家を出て行ってしまったんです」
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