中国・西安で「流行性出血熱」が感染拡大中か 人民解放軍の病院が閉鎖されたとの報道も
ロックダウンの可能性
シグマ・キャピタルのチーフエコノミストを務める田代秀敏氏は、西安の“異常事態”を偶然、ネットで知ったという。
「12月18日に神田沙也加さんが亡くなられました。中国でも神田さんのファンは多いので、現地のファンはどんな状況か調べようとしたのです。すると、中国最大のSNS『ウェイボー』で、西安における出血熱流行の状況が、広く拡散されているのが目に飛び込んできました」
田代氏が現地メディアの報道などを通じ、ネットで確認した情報は以下のようなものだ。
▼今年の冬に入ってから西安市の各大病院で、出血熱患者が次々と診察された。出血熱は大陸北部で毎年10月から流行するが、今年は極めて深刻な状況のようだ。
▼西安市の地下鉄の一日当たりの平均乗客数は、11月が272・3万人、12月初頭が296・3万人だが、12月17日が197・3万人、18日が103・8万人と減少を続けた。出血熱の影響だと考えられる。
▼現地メディアが19日に「西安市では中心街への人口流入が抑制されている」との動画を配信し、ガラガラの地下鉄車内が映された。撮影場所は官庁街の駅で、週末は特に乗客数は減る。だが、乗客が数人だけというのは尋常ではない。西安市がロックダウンに似た状況になっているかもしれない。
▼中国共産党機関紙『人民日報』傘下の『環球時報』は、19日の正午過ぎに、「警戒! 西安で出血熱の症例が多数現れ、現地の疾病予防管理センター(CDC)は注意を呼びかける」と題する記事を掲載し、出血熱ワクチンの3回接種を強く呼びかけた。
病院閉鎖の報道
▼西安市政府は19日午後、記者会見を行った。1人の症例が確定診断されてから、その濃厚接触者の2686人と、「濃厚接触者の濃厚接触者」の6209人を集中隔離し、何度もPCR検査を行っていると説明。PCR検査は約1389万人に実施する予定で、既に約1000万人の陰性結果を得ているとした。
▼同日午後2時54分(現地時間)、西安の人民解放軍空軍第986病院が「南区」を部分的に閉鎖し、そこでのすべての外来、救急、PCR検査の医療業務を中止。再開の時期は別途通知すると発表した。閉鎖の理由は明かされなかった。
「新型コロナウイルスでは、武漢市での感染拡大防止対策が後手に回りました。今回はその反省を踏まえ、積極的な防疫だけでなく、情報公開を行っているだけとも考えられます。来年2月に北京五輪が開催予定であることも大きいでしょう。徹底的に感染を封じ込めようとするのは当然です」(同・田代氏)
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