中国・西安で「流行性出血熱」が感染拡大中か 人民解放軍の病院が閉鎖されたとの報道も
普段は韓国の芸能情報を報じる「WoW! Korea」が12月19日、中国の西安市でウイルス性の「流行性出血熱」が感染拡大の傾向にあると報じた。
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【写真4枚】情報統制下でも、地元メディアの報道を注意深く分析すれば、感染拡大の兆候が浮かび上がる
記事は「『流行性出血熱』の感染が相次ぐ…死亡率0・4%=中国」というタイトルだ。
冒頭に《中国の健康時報によると》と、中国メディアの報道が引用されている。最も重要な部分を抜粋させていただく。
《西安市の疾病管理センターは、冬に入って西安市で流行性出血熱の感染者が何人か出たと明らかにした。最初の感染者は18日に発見され、正確に何人が感染したかについては公開しなかった》
西安市は陝西省の省都で、中国のほぼ中央に位置している。古くは「長安」と呼ばれ、遣唐使が訪れた都であった。日本史や世界史の授業で習ったという方は多いだろう。
経済発展によって人口増加が著しい西安市は、この10年間で約448万人が増えたと報じられた。現在の人口は約1295万人とされ、東京都の約1404万人の92・23%である。
東京規模の大都市で、新型コロナウイルス肺炎の感染拡大と並行して、流行性出血熱の感染拡大が進行している可能性があるわけだ。ただならぬ事態を想像するのは当然だろう。
過去には大阪で感染拡大
「WoW! Korea」は記事のタイトルにもあるように、《死亡率0・4%》と報じている。
厳密に言えば、これは致死率と呼ばれる。記事には《中国の関連感染者は4359件が発見され、このうち21人が死亡した》とあり、致死率を計算すると0・481%という数字が導き出される。担当記者が言う。
「記事にある『流行性出血熱』とは、日本では『腎症候性出血熱』のことです。野ネズミなどが媒介するハンタウイルスが原因で、ユーラシア大陸の広域で感染例が報告されています。最大の流行国は中国で、『年に10万人が感染している』と推察する専門家もいます」
発症初期はインフルエンザと似たような症状で、悪化すると高蛋白尿や乏尿などの症状が現れ、急性腎不全に発展するという。
日本での感染例は、戦前戦中の時期、旧満州に駐留した日本軍の間での流行が確認されている。戦後では、1960年代に大阪の梅田駅周辺で119症例が確認され、うち2人が死亡。「梅田熱」と呼ばれ恐れられた。
国立感染症研究所の公式サイトには、《1998年12月28日以降、国内で患者発生は確認されていない》と記載されている。
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