文大統領に「国民を経済的理由で死に追いやる政府は善良なふりをした悪魔だ」の声……「ウィズコロナ撤回」でさらなる失政

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自営業者の廃業と自殺報道

 政府は今回発令する規制に対し、「時短営業によって生じる損失を補償するとともに、防疫パス(接種証明・陰性確認制度のためのアプリで、すでに義務化)普及のための防疫支援金をより厚く支給する考えだ」と表明した。

 しかし、いつから支給が開始されるかについて具体的な発表はない。度重なる行動制限によって国民、特に自営業者は厳しい生活を強いられている。

 新型コロナに対応する政府の関連組織によれば、廃業した店の数は計65万3000店(11月末時点)で、自営業者の40%が廃業を視野に入れているというデータもある。実際、18日から行われる規制を受け、早々に廃業に踏み切った経営者らもいる。

 この2年で、韓国の自営業者が新型コロナウイルスの被害に耐え切れずに自殺したというニュースがたびたび報道されてきた。従業員に給与を支給した後に自ら命を絶ったというニュースを聞くと、何ともいたたまれない気持ちになる。

 韓国・統計庁が9月28日に発表した「2020年死亡原因統計」によると、昨年の総死者数は30万4948人で、前年よりも3.3%(9838人)増加し、「統計を取り始めてから30万人を超えたのは初めて」とある。このうち自殺による死者数は1万3195人で全体の4.3%を占めている。

ろうそく集会が開かれないのは?

 自殺者は自営業者に限った話ではない。

 新型コロナウイルスなどによる影響によって若者の自殺者数が増加しており、昨年の20代の死亡者のうち半数が自殺(全体:2706人/自殺:1471人)となっている。ちなみに2019年は(全体:2561人/自殺:1306人)だった。

 感染拡大前から韓国の若者は就職難によって自殺率が高かったが、感染拡大がさらなる増加を招いたと見ることは可能だろう。就職難によって正社員として働けない若者はアルバイトで生計を立てているものの、そのアルバイト先の確保すら今や難しくなっている。日本も新型コロナウイルスの影響から多くの人が職を失ったが、日本以上に韓国はひっ迫した状況だ。

 一時期、韓国はおろか日本にも「K防疫」を賞賛する人たちが存在したが、彼らは現状をどう見ているのだろう。

 文大統領は12月16日、「『日常回復』の過程で重症患者の増加を抑えられず、病床確保などの準備が十分でなかった」と国民に謝罪する声明を発表したが、国民からの批判を免れるための小手先の弁明にすぎないと指摘する声は多い。

 それでも朴槿恵(パク・クネ)前大統領を弾劾訴追に追い込んだ「ろうそく集会」が開かれないのは、彼を支持する国民が一定数いるからなのだろうか。あるいは単に、コロナ対策として集会の開催を規制しているからだろうか。

羽田真代(はだ・まよ)
同志社大学卒業後、日本企業にて4年間勤務。2014年に単身韓国・ソウルに渡り、日本と韓国の情勢について研究。韓国企業で勤務する傍ら、執筆活動を行っている。

デイリー新潮編集部

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