女子テニス「彭帥さん」は北京五輪開催を前に軟禁中 一蓮托生のIOC・バッハ会長と中国当局の思惑とは?

国際 中国

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編集・検閲のあと

 中国の有名女子テニス選手、彭帥(ホウ・スイ)さんが、中国共産党元最高指導部メンバー(中央政治局常務委員)で中国元副首相の張高麗氏から性的関係を強要されたことをソーシャルメディアで公表してから1カ月半。その動向に注目が集まる中、19日には上海でシンガポール紙の取材に応じ、性的暴行の事実を否定し、自由の身だと訴えた。北京五輪を前に国際的な批判を避けるべく、中国当局は必死なのだという。

 11月頭、彭帥さんは中国版ツイッターのウェイボーで、張氏と男女関係にあったことなどを告白した。投稿は配信間もなく削除され、彭帥さんも行方不明となった。

「彭帥さんは中国当局に身柄を拘束され、取り調べ施設で尋問も受けていたようです」(事情に詳しいジャーナリスト)

 その後、共産党系のメディアは彭帥さんが市内のレストランで食事をしたり、テニスの大会に来賓として招かれたりする場面を動画で公開したが、彭帥さんの肉声が聞き取れないなど、編集・検閲のあとがありありと見えた。

 それからIOC(国際オリンピック委員会)は、バッハ会長とテレビ電話を通じて彭帥さんが会話している画像を公開し、「北京市内の自宅で暮らしており、安全だと説明した」と発表していた。

ノーベル平和賞を狙う

「新疆ウイグル自治区の少数民族弾圧など人権問題で国際的批判が高まり、五輪を外交ボイコットする国が拡大していますよね。そんな中、もう1つの人権問題は抱えたくないし、批判されそうな材料はできるだけ摘んでおきたいというのが、五輪成功が至上命令の当局とバッハ会長の本音でしょう」(先のジャーナリスト)

 本当に彭帥さんが安全なら先に触れたようなまどろっこしい発表をする必要などないはずだから、中国当局にとって不都合な状況が続いていることは容易に察せられる。

 12月に入ってから、女子テニス協会は彭帥さんの身柄について憂慮していること、中国でのトーナメントを全て中止することを発表している。

「彭帥さんは反体制指導者やテロ主導者とは違って、言論封殺を続けるにも限界がある。当局には罪をでっちあげるなど強権発動をしてきた黒歴史がいくつもありますが、そうしたところでメリットはなく、五輪成功が危ぶまれるだけ。彭帥さんの機嫌を逆なでしないように、釣魚台国賓館などの施設で丁重に扱っているとされています」(同)

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