神戸山口組・井上組長と話したところ…2022年のヤクザはどうなる? 高山清司若頭の山口組7代目襲名はあるのか?
電話での井上組長は
その理由について、竹垣氏はこう続ける。
「カタギになるメリットがありません。仮に生命が保障されているとしても、いつ狙われてもおかしくないという緊張状況は変わらず、ボディガードを雇わざるを得ない。さらに、自身が4代目山健組(※当時は6代目山口組の中核組織だった)組長時代に抗争の結果、長い懲役に行っている子分もおり、彼らの今後を見届けないわけにもいかないでしょうしね」
加えて、出身母体の山健組は6代目の方に移ってしまっているということも大きいと指摘する。
「先に触れた後藤組の後藤忠政組長は除籍処分を受けても、良知組と藤友会という後継組織が6代目に残っていたのですが、井上組長の場合はそれが存在しません。カタギになって生活保護を受けることになったり、厳しい晩年を送ったりしたヤクザを井上組長は知っているので、安易にカタギの道を選ばないでしょう」(同)
電話での井上組長についてはどんな印象を持ったのか?
「意気軒高でした。精神的にも安定している感じが伝わってきましたね。とにかく余裕があり丁寧で明るい印象でした。6代目への印象や7代目襲名について明確に話すことはありませんでしたが、令和の時代にヤクザが生きて行く道を悟ったようにも感じました」
神戸山口組が最も警戒するのは
具体的には、
「暴排条例がジワジワとボディブローのように効いてきて、これに真っ向から反発すると工藤会のように餌食になってしまいます。抗争を起こさない、カエシ(報復行為)をしない、銃器を使わないというのがサバイブには大事だということです」(同)
カエシをしないのはヤクザじゃないと言われてきたわけだが、
「カエシをされると正直、組織として大迷惑だと思います。組員には無期かそれに至らずとも長い懲役が待っていて、その人物の面倒を見なければならず負担が増えることになります。組織を存続させるベターな方法を井上組長は採っているということだと思います。もちろんそれだけじゃなく、オレオレ詐欺とか覚せい剤での立件案件を出さないということも必須です。世の中が敏感に反応する犯罪を避けるようにしないと、さらに強烈な暴排条例が襲ってきてそれこそ工藤会の二の舞になってしまいますから」(同)
2021年12月6日、徳島県徳島市にある民家が銃撃される事件が起こった。
「この民家は“神戸山口組の寺岡修若頭と関係がある人物が住んでいる”と報じられましたが、より詳しくは、“寺岡若頭ととても親しい人物が住み、若頭はそこを頻繁に訪問する”ということのようです。犯人と見られる男は交番に出頭し、銃刀法違反容疑で逮捕されましたが、男はどこかの組に籍はなく在籍した証拠もないようです。とはいえ、ナンバー2が大事にするカタギが狙われたわけで、カエシがあってもおかしくはないはずですが音なしの構えですよね」
竹垣氏はそこに井上組長の考え方が反映されていると見る。神戸山口組が最も警戒するのは6代目ではなく、世論や世間の反応ということなのかもしれない。