「麻生太郎自民党副総裁」の失言癖をふり返る…次官セクハラ擁護、民度が違う、ナチスの手口に学べ

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お宅とうちの国は国民の民度のレベルが

 新型コロナウイルスについても持論を展開していた。

 2020年6月の参議院の財政金融委員会で、《(新型コロナの)死亡率を調べてみると、人口100万人当たり、フランスが228人、アメリカが824人、イギリスが309人、日本は7人だった》《おまえらだけ薬を持っているのかと海外からかかってきた電話でよく言われたが、「お宅とうちの国は国民の民度のレベルが違うんだ」と言うと、みんな絶句して黙る》と述べた。

 日本の死亡率が低いことをアピールしたかったようだが、日本の副総理兼財務相の民度、ひいては国民の民度も問われることになった格好だ。相手が絶句したのは、発言のレベルに驚いたからではないか。

 今年に入ってからも舌禍はとどまるところを知らず、北海道小樽市で衆院選候補の応援演説に立った際に、《温暖化と言うと悪いことしか書いていないが、いいことがある。(北海道産のコメについて)温度が上がり、うまくなった。それを輸出している。これが現実だ》と主張。

 世界中が血眼になって温暖化対策を採る中で、温暖化礼賛とも取られかねない発言に自民党の候補は肝を冷やしたことだろう。そもそも北海道のコメは農業関係者の血のにじむような努力の末にうまくなったのであって、温暖化のおかげではない。応援先の情報すらまともに仕入れずに放言したのは明らかだ。

その人が名政治家と言われる

 一方、東京五輪に絡んで、開閉会式のディレクターが過去のナチスをモチーフにしたコントがもとで解任に追い込まれたことで、同種の言及をしていた麻生氏の発言も蒸し返されることとなった。

《ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていた。誰も気づかないで変わった。あの手口に学んだらどうかね》との発言が2013年7月。2017年8月には、《結果が大事だ。何百万人も殺しちゃったヒトラーは、いくら動機が正しくてもダメなんだ》と述べたが、いずれも撤回している。ヒトラーについては、《国民に確たる結果を残して、その人が名政治家と言われる》とも言及していた。

「財務次官のセクハラや森友問題で財務省が窮地に陥っている際、麻生さんは辞任するつもりだったようですが、安倍首相に慰留され、踏みとどまりました。半径1.5メートル内で付き合う人たちにとって麻生さんは居心地がよいのでしょうが、過去の失言をふり返ってみれば国民の常識と乖離していることは明らかでしょう。肩書きだけの副総裁が多かった中、麻生さんは岸田さんにかなり気を遣ってもらっている立場で、楽しい日々を過ごしているようです。これからも自由に発言・行動することでしょう」

 問題は、ご本人は常に正論を述べていると思っているあたりだろう。その分、今後も失言も重ねられるということになりそうだ。

デイリー新潮編集部

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