福本莉子、デビューから4年で「消えた初恋」ヒロインに まさに“東宝シンデレラ”な歩みを振り返る
2021年も大活躍
今年に入っても注目作への出演が続いている。4月から7月にかけて放送された山崎豊子原作の連続テレビドラマ「華麗なる一族」では、主人公・万俵大介(中井貴一)の三女・三子役で出演。5月には初の単独主演作となる映画「しあわせのマスカット」が公開された。こちらは岡山県を舞台にした作品で、福本が演じたのはマスカットを使った果物和菓子に魅了され、和菓子製造会社に入社した新入社員。いつか自分が考えた和菓子を作りたいという思いを胸に、様々な苦難に遭遇、失敗を重ねながらも奮闘し、成長していくヒロインだった。福本は何度くじけても明るく輝く太陽のようなキャラクターをのびのびと好演。周囲を巻き込んで笑いあり、涙ありの物語が見事に紡がれていったのである。
彼女の代表作を1つに絞るとすれば、20年冬に放送された連ドラ「パパがも一度恋をした」(東海テレビ制作・フジテレビ系)だろう。妻を亡くしたショックで3年間引きこもった夫の前に、男の姿に生まれ変わった妻が現れたことで繰り広げられる家族愛を描いたヒューマンラブコメディ。彼女が演じたのは愛する妻・多恵子(本上まなみ)を亡くした山下吾郎(小澤征悦)の1人娘・トモである。目の前に現れたおっさん(塚地武雅)が本当に母の生まれ変わりなのか、日々疑っているという役どころだ。多恵子の亡き後、山下家を支えるために頑張ってきた健気な女子高生で、登場人物の中で一番まともな感覚を持っている。ナレーションも担当し、山下家に巻き起こる“事件”を伝える役割も担っていた。
「消えた初恋」でも、引っ込み思案で恥ずかしがり屋な女子高生・橋下美緒を好演していた。福本はもともと控えめでいて聡明な佇まいのある女優なので、「初恋だから大事にしたい」と想いを寄せる相手になかなか告白できないでいる、ピュアで奥ゆかしいヒロイン役に相応しかったといえよう。
パッと見は、奇麗な瞳に目を奪われ、控えめでいて知性的な雰囲気を漂わせている。なのに時折見せる笑顔のインパクトは大きく、表情の豊かさも魅力だ。来年は「君が落とした青空」と「20歳のソウル」という主演級2本の映画の公開が予定されている。まだ21歳という期待のホープから今後、ますます目が離せない。
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