大リーグ「グリンキー」の二刀流を触発したのは大谷翔平? “変わり者”が大谷にかけた言葉とは(小林信也)

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 今秋のワールドシリーズ第5戦、4回1死でアストロズが代打に送ったのは投手のザック・グリンキーだった。得点は4対5、ブレーブスに1点リードを許している。しかもここまで1勝3敗でもう後がない。

 だが「代打グリンキー」は冗談ではなかった。先発して4回無失点の好投を演じた前日も103年ぶりとなる8番打者で起用され、センター前にヒットを打っている。代打グリンキーは期待に応え、外角高め90マイル(145キロ)の速球をライト前にライナーで弾き返した。打球は、この試合アストロズ打線が打った中で最速の時速約170キロだった。この回こそ無得点に終わったが、続く5回に3点を奪い逆転。アストロズは本拠地に第6戦を持ち帰った。

 投手がワールドシリーズで代打安打を打つのは98年ぶりだという。

 私はこの一打を「大谷翔平が打たせたヒット」ではないかと思っている。今季の大谷の活躍があったからこそ、アストロズのダスティ・ベーカー監督(史上最多5球団を地区優勝に導いた名将!)の代打起用は歓迎された。しかも、本当は大谷より先に二刀流を志していたといわれるグリンキー自身、大谷の活躍に触発され、勇んで打席に向かったのではないだろうか。

 グリンキーは、すでに219勝を挙げ、2809奪三振も記録している大投手。2012年12月にドジャースと契約した時の「6年1億4700万ドル」は年平均にすると当時MLB史上最高の約28億円。19年までダイヤモンドバックスと結んだ4年間の平均年俸約38億4千万円も最高額だった。

 6球団を渡り歩き、ナショナル・リーグに所属した時は当然打席にも立った。通算600打席で打率.225、9本塁打。ポジション別の最優秀打者に贈られるシルバースラッガー賞に2度も選ばれている。2度目に受賞した19年は50打数14安打、打率.280、ホームラン3本を記録している。

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