ドン逮捕で日大「加藤新理事長は辞めろ」は田中派の思うツボ 田中派が考える巻き返し策とは
「意識が変わったのなら大きな前進」
12月15日には、臨時評議員会が開かれ、『田中前理事長の評議員職の解任』が決議された。3日に理事を解任されたのに続いて、またひとつ日大の公職を解かれ、『田中追放』は着実に進んでいる形だ。
今回注目すべきは、解任決議に反対がゼロだったことだ。田中前理事長の理事職解任決議を可決した理事会では賛成26に対して、「反対6」という数字が関心を集めた。脱税容疑で逮捕され、数々の疑惑が深まったにも関わらず、理事解任に反対した理事が6人もいた事実。田中支持の根強さを示すのか。あるいは理事長を解任されてもなお田中が怖いのか。田中への忠誠を示さねばならない6名と田中とはどんな関係なのか?
加藤理事長の招集で午後2時から日本大学本部で開かれた臨時評議員会には、評議員121名のうち、欠席1名、委任状による出席者15名を除く、105名が出席した。欠席は田中前理事長ということだろう。委任状での出席者は、議長を務めた加藤理事長に「一任」だから、採決においては加藤氏の意見に賛同する形だ。採決の結果は、賛成119、棄権1で解任が決議された。棄権1はやはり賛成に投じられない人がいたことを表しているのだろうか。しかし、理事会で反対票を投じた6名全員が評議員でもあるのだが、そのうち少なくても5名が今回は賛成したことを意味している。
評議員のひとりはこう語っている。
「理事解任に反対した6人の理事がメディアでも強く非難されていました。そのおかげというか、日大はもう絶対に改革しなければ世間の信用を回復できない、ようやくそういう認識に変わったとすれば大きな前進だと思います」
校友会長の解任も必須のステップ
これは実はすごく重要な点だ。田中前理事長はもうひとつOB会組織のトップである『校友会長』の職にある。校友会長は『校友会枠』で選ばれる8名と言われる理事選任に深く関与できる。アメフト事件で辞任した井ノ口被告が2年後に易々と理事に復帰できたのも『校友会枠』で推薦されたからだ。だから次は当然、校友会長の解任も必須のステップだ。
臨時評議員会でも評議員のひとりが加藤理事長に、「一部のテレビ番組で校友会長を解任されたか除名されたと報道があったが本当か?」と質問したところ、加藤理事長は、「他の組織のことは発言を控えたい」と答えたという。つまり、いかに現状、田中前理事長が築き上げた強大な権力を田中に変わって保持している加藤理事長にしても、『校友会長解任』までは自ら手を下せない。校友会の中枢を担っているのが、理事会で理事解任に反対票を投じた6名ではないかと見られている。
要するに、この6名が現状を認識し、田中追放やむなしの結論に至って行動しなければ、校友会長留任の可能性はゼロではない。
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