岡本和真は567%増…年俸大幅アップも、その後活躍「できる」「できない」選手の分れ目
“新しい武器”を身につける必要性
一方、残りの投手8人を見てみると、野手とは少し事情が異なっている。まず、オリックス・岩本輝、巨人・高木京介、中日・松坂大輔は若手で伸びてきたわけではなく、一度自由契約となって大幅ダウンとなってから復活した選手である。
今年であれば、右肘の故障から復活し、4年ぶりに一軍で勝利を飾った中日・田島慎二がこのようなケースに当てはまりそうだが、気になるのは、これまでの復活組は、翌年大きく成績を落としているところ。岩本にいたっては、2019年限りで引退している。一度故障などから復活した投手が、その後も続けて活躍することはやはり簡単なことではないと言えるだろう。
それ以外の投手を見ても、翌年以降に成績を伸ばしたのはソフトバンク・石川柊太と、抑えに配置転換となったロッテ・西野勇士のみだ。阪神・桑原謙太朗は2018年もフル回転したが、主力として活躍できたのは2年間だけ。中日・若松駿太と日本ハム・吉川光夫は年々成績を落としていった。
タイプや役割も異なるため、ひとくくりにして考えることはできないが、若松、吉川、桑原は年俸大幅アップを勝ち取った年がキャリアハイとなっており、野手と比べると、やはり厳しい印象は否めない。その理由は、相手に持ち球を研究されたことや、勤続疲労などの影響が考えられる。
過去の事例を踏まえて、今年活躍した選手を見ていくと、特徴のあるフォームが武器である阪神・伊藤将司、クローザーとして大車輪の活躍を見せた広島・栗林良吏や、中継ぎとして日本一に貢献したヤクルト・今野龍太などは少し不安が残る。まずは、コンディションを維持することはもちろんだが、“新しい武器”を身につける必要性はどうしても出てくるだろう。
冒頭でも触れたが、年俸が大幅に上がれば、当然それだけ周囲の目は厳しくなることは間違いない。そんな中でも結果を残し続けるのが、一流選手と言えるだけに、このオフに大幅昇給を勝ち取った選手の中からも長く球界を背負って立つ選手が一人でも多く出てくることを期待したい。
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