岡本和真は567%増…年俸大幅アップも、その後活躍「できる」「できない」選手の分れ目

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注目される契約更新

 12月15日に「NPB AWARDS 2021 supported by リポビタンD」が行われ、今年のMVPなど各種タイトルを受賞した選手が表彰された。大きな注目の一つだった最優秀新人選手、いわゆる新人王は、広島・栗林良吏とオリックス・宮城大弥が受賞。他にもセ・パ合わせて6人もの選手が新人特別賞に選ばれており、例年以上にハイレベルな争いだった。【西尾典文/野球ライター】

 ルーキーや実績のない若手がブレイクした時に注目されるのは契約更改だ。打率.314、打点71、22本塁打という輝かしい成績を残した、ルーキーのDeNA・牧秀悟は、12月16日に契約更改を行い、5700万円増の7000万円でサインした。2年目年俸の7000万円は日本球界の野手史上最高額だ。さらに昇給率は438%。これは、1999年の西武・松坂大輔と並び、翌年2年目となる選手で歴代最高である(12月16日時点)。

 プロ野球選手が夢のある職業と感じるのは、まさにこのような金額を見た時であるが、年俸が増えればそれだけ球団やファンの期待とプレッシャーは大きくなり、右肩上がりで増額していくケースばかりではない。近年、大幅昇給となった選手は、翌年も結果を残しているのか、検証してみたい。

 まず過去10年間の契約更改で年俸アップ率のトップ10と、その前後の成績をまとめた。文末に一覧表を記載したので、ぜひご覧頂きたい。

チームの大看板に成長

 2011年~2020年の契約更改で最高の年俸アップ率となったのは、2018年の巨人・岡本和真である。前年までの3年間で一軍わずか1本塁打だった選手が、いきなり打率3割、30本塁打、100打点をクリアし、いきなりチームの主砲に急成長した。

 野手でもう1人ランクインしたのが、2019年のヤクルト・村上宗隆だ。高校卒2年目ながら全試合出場を果たし、打率は.2割前半と低かったものの、いずれもリーグ3位となる36本塁打、96打点をマークした。

 そしてこの2人は翌年も大きく成績を落とすことなく、チームの大看板へと成長を遂げている。過去を振り返っても、若手野手で彼らを上回るアップ率を記録しているのは1994年のオリックス・イチロー(800万円→8000万円)と2005年のヤクルト・青木宣親(1000万円→6800万円)がいるが、ともに球界を代表する打者となっている。裏を返せば、野手の場合は球界を代表する選手になる器でなければ、ここまでの大幅アップを勝ち取ることはできないとも考えられる。

 今年の野手では、前出の牧、阪神・佐藤輝明と中野拓夢、2年目のオリックス・紅林弘太郎が大幅増を勝ち取っているが、いずれも武器がはっきりした選手で、過去の例を見ても“2年目のジンクス”の心配度はそれほど高くないと言っても良いのではないだろうか。

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