文大統領「北京五輪支持」で吸った甘い蜜の味 「ボイコットする考えもなく、能力もなく、勇気もない」と揶揄されるスタンス
ボイコットは検討していない
アメリカ、リトアニアをはじめオーストラリア、イギリス、カナダなど、来年2月開催の北京オリンピックに「外交的ボイコット」を表明する国が相次いでいる。日本もこれに加わる意向を示したが、これに反応したのが他ならぬ韓国だった。インターネット上で「中国のオリンピックをボイコットすれば、韓国はどのような影響を受けるか?」といったスレッドが立ち上げられてもいる。実際に韓国はすでに五輪支持を中国側に伝えており、その見返りも受けているという。現地在住・羽田真代氏のレポート。
渦中の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、今月12日からボイコット表明国の一角・オーストラリアを国賓として訪問した。その地で文大統領は、「北京オリンピックの外交的ボイコットは検討していない」「アメリカをはじめ、どの国からもボイコットの誘いを受けていない」「経済的に中国との関係は非常に重要だ」と言及した。
その声明自体は多くの人が予想していたことだろう。「経済的に中国との関係は非常に重要だ」と述べた通り、特に韓国経済は中国への依存度が強い。
中国への過度な依存
韓国貿易協会によると、韓国が海外から輸入する年間100万トンの鉄筋のうち60%以上が中国産だという。韓国の主力産業に使用される分離膜の原材料は中国への依存度が60.8%で、電球体の原材料だとこれが90%以上に跳ね上がる。酸化タングステン・水酸化カルシウム・水酸化マンガンなどの原材料に至っては、中国からの輸入が92.8%に達するという。
加えて、文政権が北京オリンピックを外交的ボイコットできない理由として、北朝鮮の存在がある。文大統領は残り5ヶ月となった在任期間内に、朝鮮戦争の終戦を宣言しようと躍起になっており、当然、北朝鮮と深い関係を築く中国をないがしろにできないのだ。
文大統領の国賓訪問を受けいれたオーストラリアのモリソン首相は、対北朝鮮問題については「オーストラリアはただ傍観する国ではない」と韓国側に協力すると述べたものの、「妥協してはならないことがある」と主張している。
中国問題についても同首相は、「中国は台湾を侵攻する可能性がある」「韓国はアメリカの同盟国だ」と強調し、韓国に一定の役割を果たすよう求めた。しかし、韓国はこれまで述べてきた理由から中国当局を敵に回すことができないだろう。「北京オリンピック開催支持」以外の選択肢はなく、あろうことか、その見返りをすでに受けているのだ。
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