看護師業界に訪れた「コロナバブル」の闇 沖縄で「約束と違った」と苦情が噴出

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実収入は想定の30%以下に激減

 さらには雇用期間も短くなってしまった。12月頃までは仕事があると言われていたにも関わらず、10月第1週で打ち切りに。その間、委託業者にサインさせられた雇用契約書の内容に不信感はぬぐえない。

「例えば9月に入ってから、雇用期間が9月から11月初旬までになっている雇用契約書に一度はサインしたのに、しばらくしたら雇用期間が9月末までの契約書に改めてサインさせられました。しかもその後は1回だけ、1週間延長する契約書にサインして仕事は終了。12月までは仕事があると言われていたのに納得いきません」

 業務開始は遅れ、勤務日数も少なく、業務終了も早まった。この現場での業務に携わった看護師らは、初めの時点で計画していた収入が得られなかったことになる。

 看護師がこの業務に応募した時、派遣会社から受け取った文面には、「想定年収:624万円」と記載されていた。これは時給3000円で1日8時間、週5日勤務で計算した年収だ。当初は7月1日から12月まで勤務する予定だったため、その5カ月分に計算しなおすと、本来は「260万円」の収入になるはずだった。

 ところが実質的に働いたのは2カ月2週間だけ。挙句の果てには勤務日数も少なくなった。2カ月2週間の週3日勤務で計算すると、収入は「77万円」となり、当初の想定の30%にも満たない。これは生活に大きく支障が出るレベルだ。

 前出の看護師は、現在の苦境について次のように吐露する。

「求職活動をしていますが、なかなか決まりません。月々の支払いもあるので生活は非常に厳しく、ハローワークで失業手当をもらわなければどうにもなりません」

 一部の看護師らは、この問題を委託業者に申し立てたが解決できず、公的機関に訴えた。それが影響したのか、看護師らには「お詫び金」が支給されたが、その額も20万円だったり40万円だったり、人によってまちまち。金額の違いについて、その理由ははっきりとは説明されなかったという。

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