「ドクターX」大門未知子にはモデルがいた! 脚本家・中園ミホ、医師・加藤友朗が明かす裏側

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医師免許がなくてもできる仕事をやらされる日本

加藤 僕がたまに日本に帰ってきて思うのは、医師免許がなくてもできる仕事のなんと多いことか。その仕事をドクターが延々とやらされるという。あとはね、会議の数が多いです。医者は患者を診なくてはいけないし手術もあるから、そんなにしょっちゅう集まる時間があるはずないのに。学会もとてつもない数があって、地区部会から関東部会、全国のものまで出ていると全然時間が足らない。「ドクター」にも似たシーンがありますよね。

中園 大門未知子が「教授の論文のお手伝い『いたしません』、学会のお供『いたしません』」と契約条件を述べるところですね。あとは、「愛人の隠蔽工作『いたしません』」(笑)。愛人がいる先生のお話もちらほら聞いたりするので、そこから考えたセリフです。

加藤 日本では、患者さんをどの部屋に、どんな順番で入院させるか、ということも全部ドクターがやっていることが多いんですよね。アメリカではそういうことは考えられない。

中園 アメリカでは誰がやるんですか?

加藤 ナースがやりますね。フィジシャンズ・エクステンダーという人がやるケースもあります。フィジシャンズ・アシスタントという、ドクターのアシスタントもいます。この人たちはドクターが把握している範囲であればほとんど何でもできる。例えば僕のフィジシャンズ・アシスタントは僕と一緒に手術したり、患者さんを診ることもできる。また、患者さんから連絡が来たらそれを聞き取って僕につないでくれます。だから本当にパーソナル・アシスタントですね。

中園 でもメスは握らないですよね?

加藤 メスもやりたかったらやってもらってもいいんです。基本的には助手ですからあまりやりませんが、中には任せてもらうのが好きなアシスタントもいて、そういう人には任せます。

中園 えーっ!

加藤 フィジシャンズ・アシスタントは医師免許を持っていませんが、特定の病気の患者を徹底的に診てきた人が多いので、その分野に関してはレベルが高い。

加藤氏の言葉がそのまま大門のセリフに

中園 こういうふうに、加藤先生にちょっとお話を聞いただけで、ドラマのネタが湧いてくるのでありがたいです。セリフも、加藤先生の言葉をそのまま使ったりしています。例えば今シリーズの第2話に出てくる「患者は逃げたくても逃げられない。たった一人の外科医に命預けてんだよ」という大門未知子のセリフ。これは今年3月に加藤先生が仰った言葉をメモして、そのままセリフとして使いました。すみません、印税払わないと(笑)。

加藤 僕は「ドクターX」の映像を制作会社の方からいただいて見ていますが、毎回、面白いです。

中園 ありがとうございます。話が「ドクターX」の宣伝みたいになっていますが、先生、最近お具合はどうですか? ご趣味のマラソンにも復帰されたとか。

加藤 もう元気ですよ。エクモにつながれて死線をさまよっている当時はマラソンができるまでに回復するとは思っていませんでした。

中園 やっぱり加藤先生はスーパーマンだわ(笑)。

加藤 「ドクターX」の今シリーズでは第1話で大門未知子がラッサ熱という感染症に罹患しますが、第2話ではすでに回復している、という設定でしたね?

中園 まあ、大門未知子が療養中で手術できないところを見せてもねぇ、と思って第2話は第1話の2カ月後、ということにしました。加藤先生が手術の現場に復帰されたのは?

加藤 今年3月に中園さんとリモートでお話しした時にはもう復活していましたよ。最初は自分の手足を動かす必要のないロボット手術から始めました。しばらくそれでいこうと思っていたら、その後、僕がやらないといけない手術が出てきて、やっちゃった。でもそれで逆にペースがつかめて、後はいつも通り。それまでは本当に復帰できるのか不安でした。

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