「ガッテン!」終了に中高年はガックリ 志の輔の人気長寿番組を打ち切るNHKの思惑
“皆さま”より“若者のNHK”に
「12月8日放送分の視聴率は、個人5・5%、世帯10・0%で、十分合格です。ただし、F1層(20~34歳の女性)は0・7%、コア層(13~49歳の男女)は1・3%しかありません。この日の裏番組『FNS歌謡祭 第2夜』(フジテレビ)のF1層1・8%、コア層6・3%と比べると悲惨な数字です。対して、『ガッテン』のF3層(50歳以上の女性)は11・2%、M3層(50歳以上の男性)は9・1%で、完全に高齢者寄りの番組になっていることがわかります」
食生活や健康がテーマなのだから、そうなるだろう。とはいっても、そもそもF1層、F2層……といった年齢区分は広告業界で使われる用語だ。民放がコア層を設けて、その年齢層に見られる番組作りをしているのは、スポンサーに向けた戦略に他ならない。NHKには関係ないはずである。
「実は、NHKは15年ほど前から若者向けの番組に舵を切っており、若年齢層の視聴者獲得に動いています」
高齢者層を切り捨てたということか。なぜ“皆さまのNHK”ではなくなったのか。
キャステングは若者向け
「ひとえに安定した受信料獲得のためです。現在、国民の8割以上が支払う受信料ですが、ほとんどの高齢者層は律儀に払い続けています。支払率が低いのは若年層です。親元を離れた新大学生や新社会人など、このあたりからも徴収しなければ、将来、NHKの受信料収入は先細りとなってしまう。新たに若年に契約してもらうためには、彼らが見たいと思うような番組が必要だと考えているのです」
受信料収入がなければ、作りたい番組が作れないどころか、NHK職員の給料も払えない。むしろ民放よりも深刻かも。
「ですから、若者向けのキャスティングで、次々と番組を作っているんです。今年の『東京五輪』に櫻井翔と相葉雅紀をスペシャルナビゲーターとして起用したり、『紅白歌合戦』にも若者に人気のYOASOBIやBiSH、DISH//らを必死に仕込んできます。朝ドラには松村北斗や永瀬廉らジャニーズの人気者、大河『青天を衝け』の主演にまだ27歳の吉沢亮を抜擢するなど、なんとか若者に見てもらおうという作りです」
NHKには不要という声もあるバラエティ番組も同様だ。
人気芸人の冠番組
「2012年にスタートした内村光良を中心とするコント番組『LIFE!~人生に捧げるコント~』が話題になると、18年には岡村隆史の『チコちゃんに叱られる!』、有田哲平の『有田Pおもてなす』、19年には有吉弘行と千鳥ノブの『有吉のお金発見 突撃!カネオくん』、さらにサンドウィッチマン『サンドのお風呂いただきます』(現在は『ロコだけが知っている』に継続)など、民放で人気者の冠番組を並べ始めました。もっとも、それほど結果を出していないようですが」
民放の猿まねと思われているだけなのかも。
「そもそもNHKの受信料に対し、若者の間では“スクランブル化せよ”という声が最も大きいですからね。すべての番組を見られるわけでもないのに、地上波だけで年1万4000円以上は高いという声がもっぱらです」
このような番組編成が続けば、高齢者層のNHK離れを呼び起こすかもしれない。
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