TBS「東大王」に訪れた危機 スター不足、芸能人チーム…そして3つめの理由は?
人気が落ちたのは「スターの不足」「芸能人チーム」?
本題に入りたい。どうして人気が落ちたのだろう。理由として考えられるのは以下のことではないか。
(1)スター東大生の不足
みんな学生なのだから、本来はスターも何もないのだが、中にはカリスマ性のある東大生も存在し、視聴者を強く惹きつける。
その1人が2017年から出演し、今年3月の大学卒業(法学部)と同時に番組も離れた鈴木光さん(23)である。
「鈴木さんの降板と同時に番組を観なくなった」というSNS上の声は多い。確かに、爽やかである一方、頭脳明晰だった。
鈴木さんは筑波大附属中3年時に英検1級に合格。一方で2年時には土屋太鳳(26)らか所属するソニー・ミュージックアーティスツの大規模オーディションを受け、ファイナリストに選ばれている。天は二物を与えた。司法試験にも合格した。
番組が生んだ最大のスターは伊沢拓司さん(27)にほかならない(経済学部卒、大学院農学生命科学研究科修士課程中退)。2017年の番組開始当初から出演。2019年に回答者から外れたものの、現在も番組の解説役などを務めている。
伊沢さんは世間のクイズ回答者の概念を一変させた。まず不得意分野が見当たらない。観る側はあっけに取られるばかり。話もうまく、人の気をそらさない。
また知識を増やすことのみに拘っているわけでなく、世の中全般のことを深く考察している。その点も新しいタイプの回答者だ。だから「バンキシャ!」(日本テレビ)などでコメンテーターも務められるのだろう。
伊沢さんは今も芸能人チームの一員などで回答者側にまわることもある。だが、東大生とOBでは立場が違う。視聴者側は「東大生たちがクイズにどう答えるか」に興味があるわけで、OBの伊沢さんでは単なる賢者。番組の売り物にはなりにくい。
現在のスターは理学部卒で大学院数理科学研究科博士後期課程生の鶴崎修功さん(26)。IQは驚異的で165。完全に天才の領域である。こんな逸材が増えたら番組が再び活性化するのかも知れないが、東大生でも平均IQは約120とされているから、難しいだろう。
(2)対戦する芸能人チーム側に問題がある
東大生たちと対戦するのは基本的に芸能人。11月17日の3時間スペシャルにはFUJIWARAの藤本敏史(50)やアンミカ(49)たちが出演した。
東大王側は全員が東大生か院生で、さらに選抜試験(「プロジェクト東大王」など)を経ているのに対し、芸能人側は「みんな芸能界にいる」というユルイ括りしかなく、選考にも脈絡がないように思える。
だから、芸能人側には一体感が乏しく、番組全体のガチンコ勝負感を薄くしているようにも思える。またSNSには芸能人の人選自体に異を唱える意見も目立つ。
学生同士の対戦の復活を望む声もある。過去には東大生と早稲田大生、京大生が対戦したこともあったのだ。
東大生が主役の番組なので、他大学の学生を出演させるのは難しいだろうが、プライドを賭けた学生同士の対戦も一考の余地があるのではないか。
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