アル中の妻は浮気、娘は万引きで補導… 家庭が崩壊した不倫夫の告白「僕の何がいけなかったのか、誰か教えて」

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誰からも選ばれなかった

 一方、娘は高校を卒業するやいなや家を出て行ってしまった。ときどき連絡はくるが、どうやら夜の世界で働いているようだ。

「妻とふたりで購入した家はまだローンも残っていますが、もうここに住んでいてもしかたがない。結局、家を売って僕は今、小さな賃貸マンションにいます。両親もそろそろ80代になるし、いずれは僕が面倒をみるしかないので、今のマンションにいられるのもあと何年かでしょうね」

 なんとか踏みとどまってきたのに、娘の成長と妻の不調によって、家族はとうとうバラバラになった。

 一体、自分の結婚生活は何だったのかと学さんはずっと考えている。有紀子さんとの関係は10年を越えたが、彼女は親の介護のためにもうじき実家に戻るそうだ。

「彼女は関西の人なんです。うちの会社、関西にも支社があるので、彼女はずっと異動願いを出していた。それがどうやら叶うようです。『私はひとりっ子だから、これ以上、親を放ってはおけない。本当はあなたと一緒にいたい』と彼女は言いますが、最後は僕より親を選ぶんでしょうね。結局、僕は誰にも選ばれなかった。結婚の動機からして妻はやむを得ず僕と一緒になっただけだし、必死に向き合った娘も僕を捨てた。そして有紀子も。僕の何がいけなかったのか、誰か教えてほしい。そんな気持ちです」

 最初のボタンの掛け違いが響いた結婚生活だったのか、あるいは彼の努力で運命は変えられたのか。それは誰にもわからないのかもしれない。絵理奈さんは酒に逃げたが、学さんは有紀子さんに逃げた。人は何かに依存しないと生きていけないものなのかもしれない。かける言葉も見つからないまま、学さんと別れるしかなかった。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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