アル中の妻は浮気、娘は万引きで補導… 家庭が崩壊した不倫夫の告白「僕の何がいけなかったのか、誰か教えて」
妻が抱いていたトラウマ
学さんも当時は収入が高いわけではなかったから、共働きはありがたかったものの、育休は1年ほどとることができた。絵理奈さんの復帰はその後でもいいだろうと言い争いにもなった。だが彼女は譲らない。何かにせき立てられるように仕事へと戻っていった。
「むずかしいところですよね。お互いに時間をうまくやりくりして協力できれば、フルタイムで仕事もできるんでしょうけど、そもそも僕は残業が多かった。保育園も延長ばかりで子どもにはかわいそうで。しまいには見かねた僕の母親が、夕方以降、預かってくれることも多くなりました」
だが絵理奈さんには、それが気に入らなかったようだ。夕方、学さんの実家から子どもを奪い取るようにして帰宅すると、子どもを寝かせて会社に戻ったこともある。どうしてそこまでするのか、学さんには不可解だった。
「絵理奈にどうしてそんな危ないことをするのかと尋ねても、はっきり言わない。だけど子どもが2歳くらいになったとき、それまで知らなかったことを打ち明けてくれたんです。彼女は小さい頃に親が離婚していて、どちらも新しい家庭をもっていた。彼女は祖父母の家で暮らしていたんです。だから結婚式をしても親戚は誰も来ないと以前、言っていて、僕とも式は挙げなかった。その生い立ちは知っていたのですが、それだけではなく、小学校に上がったころ、ときどき母親が彼女を迎えにやって来たというんです。母に連れられた先で絵理奈は、父親の違う弟や妹の面倒を見させられた。つまり、母親は自分の家で働かせるために迎えに来ていた。彼女はひどく傷ついたそうです。だから、僕の実家に自分の娘を預けることに対して、大きな抵抗があったみたい。事情は全然違うんだけど“祖父母の家に迎えに行くこと”が彼女のトラウマで、拒否反応を引き起こすんでしょう。だったら自宅に子どもを連れ帰ってもらって、絵理奈か僕のどちらかが帰宅するまで、母に面倒を見てもらおうと提案しました。母は大変だったと思うけど、父も賛成してくれて」
ところがそうなると、絵理奈さんは帰宅がどんどん遅くなっていった。面倒を見てくれる人がいること、彼女にとって義母が苦手だったことなどがあるのかもしれない。週末は一家3人で過ごすことを心がけたが、絵理奈さんは夫である学さんに心を許しているようには思えなかった。
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