元公安警察官は見た 私も通いつめた…捜査員にとって風俗店は極上の情報源である理由

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幕張メッセの展覧会

 勝丸氏は店に1カ月ほど通って、風俗店の店長と親しくなった。

「おかげでロシア人が何をしているのか、だいたいわかってきました。幕張メッセなどで開催される警備グッズや防弾チョッキなどの展覧会に足を運んでいたそうです。彼はロシア外交官の指令を受けてパンフレットを入手し、ブースにいる人と名刺交換していたと思われます。その名刺を外交官に渡し、日本の協力者を探しているようです」

 さらに、風俗店からロシア人が行きつけのレストランやバーも教えてもらった。

「彼が通うレストランを張り込んだところ、企業の幹部と見られる日本人やロシアの外交官と会食していたことも確認しました」

 それにしても、かなり時間のかかる地道な捜査である。これだけ時間をかけて、どのくらいの成果があるのだろうか。

「このような捜査は普通、少なくとも3カ月はかかります。情報がまったく取れなくて空振りする場合の方が多いですね。情報を取れる確率は3割もありません。3カ月経っても何の成果も上げられなければ、捜査は打ち切りとなります」

 結局、この公安対象となったロシア人はその後摘発されてはいないが、今も公安捜査員が目を光らせているかもしれないという。

勝丸円覚
1990年代半ばに警視庁に入庁。2000年代初めに公安に配属されてから公安・外事畑を歩む。数年間外国の日本大使館にも勤務した経験を持ち数年前に退職。現在はセキュリティコンサルタントとして国内外で活躍中。「元公安警察 勝丸事務所のHP」https://katsumaru-office.tokyo/

デイリー新潮編集部

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