日本は及び腰の「中国の弾圧」問題 在日のウイグル人ら訴え、中国公安はメールで恫喝
中国の人権侵害非難決議から逃げた自民・公明の党執行部の罪
こうした状況に対し、非難決議さえできないのが今の日本だ。国会では今年6月、各党が全会一致での対中非難決議の採択を目指したものの、最終的に見送られた。立憲民主党や日本維新の会は決議案を了承したものの、肝心の自民党や公明党が党内手続きが終わらないという理由で採択を避けたからだ。要するに、当時の自公の党執行部が中国共産党政権の反発を恐れたということにほかならない。小国のミャンマーに対するクーデター非難決議はすんなり採択しておいて、大国の中国への非難決議からは逃げたということである。
今年3月、公明党の山口那津男代表は記者会見で、新疆ウイグル自治区でのウイグル人に対する人権侵害についてこう語っている。「我が国が制裁措置を発動するとすれば、人権侵害を根拠を持って認定できるという基礎がなければ、いたずらに外交問題を招きかねない」。「認定できるという基礎」とはどういうことか。欧米諸国がこれだけ明確に人権侵害を問題にしている中、政権を担う政党の党首として、その根拠を探す努力をしたのか。中国が自ら人権侵害を認めるまで待つとでも言うのだろうか。
6月下旬になって、中国大使館での勤務経験があるという大阪の公明党の伊佐進一衆院議員が、自身のYouTubeチャンネルで、山口代表の発言を“エクスキューズ”していた。おそらく同党への批判が噴出したことを意識してのことだろう。しかし、その内容はひどいものだった。
「(山口代表の)主旨は、日本は欧米のような諜報機関がないんですよね。だから判断に足る情報を果たしてどこまで持ってんのかと(ということ)」
挙句、
「米国だって他人(ひと)のこと言えない、黒人に対する取締りとか――」
「日本だって、LGBTの人たちの人権が本当に守られてんのか――」
と言い訳に終始するのである。6月15日に東京・中野区議会が中国による人権侵害を求める意見書を可決した際、公明党の会派だけが反対したのは、この党の消極姿勢をあらわす象徴的な出来事だった(兵庫県議会が6月9日に日本政府に中国の人権侵害の実態調査の実施を求める意見書を採択した際には、公明党を含む全会一致だったが)。
さすがに10月の総選挙では公明党も公約にこう記した。「中国における人権や基本的自由の尊重について国際社会から具体的な懸念が示されており、公明党も共有している」。「人権の実現を至上の目的価値とする」ことを標榜する公明党である。公約に嘘がないのであれば、自民党を巻き込んで国会で一刻も早く非難決議を採択すべきなのではないか。
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