大減俸続出、育成再契約の乱発…不平等すぎる日本球界を変える“抜本的改革案”

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 日本シリーズも終わり、ストーブリーグの時期となったプロ野球だが、ここへ来てさまざま問題が浮上している。巨人は12人もの選手を育成選手としての再契約を前提に自由契約とし、その中には今年支配下に復帰したばかりの鍬原拓也や社会人出身のルーキー伊藤優輔、今年39試合に登板した田中豊樹が含まれている。また、ソフトバンクは、ドラフト5位ルーキー、田上奏大の自由契約を発表し、こちらも育成選手として再契約すると見られている。【西尾典文/野球ライター】

「ちょっとふざけるなよ」

 そもそも育成選手とは「連盟選手権試合(ペナントレース公式戦)へ出場可能な支配下登録を目指すため、野球技能の錬成向上およびマナー養成を目的とした選手の事を言う」とある。

 しかし、巨人やソフトバンクの事例を見ると故障による長期離脱や、フリーエージェント(以下FA)で選手を獲得した時に発生する人的補償の対象から外そうという意図が見えるもので、本来の目的からは逸脱していることは間違いないだろう。

 これに加えて、選手を軽んじるような球団の姿勢も問題視されている。12月5日、ロッテの多数の選手が契約更改における下交渉の段階で、査定担当から一律25%ダウンからスタートするという説明を受けていたことが発覚した。この事態を受けて、プロ野球選手会はロッテに抗議文を送付したことを発表している。翌日に行われたプロ野球選手会の定期大会では、森忠仁事務局長から選手と球団の立場が平等ではなく「ちょっとふざけるなよというところも感じている」との発言も飛び出した。

 ロッテは同6日、プロ野球選手会の抗議に対して「12月3日に選手会へご説明した通り、球団として一律25%ダウンという方針は一切採っておりません。しかしながら、査定担当者の説明が不十分で一部の選手の理解を得られなかったことは真摯に受け止めており、再度、丁寧に説明を行っている状況です。今後とも当球団の選手としっかり話を行い、納得してもらった上で契約更改を行います」とのコメントを発表している。

 コロナ禍で球団の経営状況が苦しいという事情があるが、ここまで球団の選手に対する扱いについて話題になる年も珍しい。

FAには「宣言」が必要

 では、球団と選手が対等な立場となり、より多くの選手が力を発揮できる環境を作るためにはどうすれば良いのだろうか。まず見直すべきはFA制度だろう。

 メジャーでは、在籍6年で自動的にFAとなって他球団との交渉が可能となる。一方、日本は高校卒の選手が一軍登録7年、それ以外の選手は8年で国内FA権を獲得できる。さらに、海外球団との交渉が可能となる、海外FA権の取得は9年とさらに時間がかかる。

 そして、期間の長さ以上に大きな違いが、日本ではFAとなるために「宣言」が必要という点だ。最近はほとんどなくなったものの、かつては「宣言」をした場合はチーム残留を認めないという球団があった。それがなかったとしても、選手にとっては、FAになるハードルが高くなっていることは間違いない。

 毎年100人近くの選手がFA権を取得したと公示されるが、実際に宣言する選手は数人というのは、こうした制度のためだ。選手にとってはより良い環境でプレーできる球団を見つけることは当然の権利であり、日本もメジャーのように“自動的”にFAとなる仕組みへと変更すべきではないだろうか。

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