岸田首相に「人事がうまい」「案外したたか」「菅前首相の逆をやっているだけ」の評

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丁寧に、わかりやすく、腰を低く

 その一方で、安倍晋三前首相の“扱い方”も心得たものだという。

「麻生さんと違って特に役職があるわけではありませんが、岸田内閣を支えてくれる党内最大派閥のボスとしての立場を尊重していますね。例えば、細かいことでも安倍さんには連絡を入れて直接伝えたりしており、安倍さんもそれはイヤではない」(同)

 安倍氏は最近、対中問題に触れて、“台湾有事は日本有事だ。日米同盟有事でもある”と発言して中国側の強い反発を呼んだ。

「安倍さんは存在感を示せたことに満更でもない感じだったそうですし、そういう環境を作った岸田さんは“案外したたかだね”と評価する実力者もいました」(同)

 もちろん、「とにかく丁寧に、わかりやすく、腰を低くというスタンスで、菅さん(義偉前首相)の逆をやっているだけじゃないの?」(自民党の閣僚経験者)という指摘もある。この点について、担当記者は、

「実際、首相周辺では、“菅さんの逆をやろう”というのが合言葉になっているとか。まあ失敗に学ぶというのも、岸田さんのモットーである『聞く力』に含まれるのでしょうね。ただ、10万円給付については追い詰められてしまったかもしれません」

自民党内の意見を聞きすぎた

 18歳以下の子どもに現金とクーポンで5万円ずつ給付する「10万円給付」をめぐって、政府の対応は迷走を続けている。

「政府想定の現金とクーポンとを半分ずつ配布する場合、自治体の事務経費が計967億円もかかることがわかりました。自治体からは、経費が嵩むことやそもそもクーポンは求められていないという声が上がり、全額現金方式を希望する動きが広がっています。“現金は貯蓄に回ってしまうから”という自民党内の意見に岸田さんなりの『聞く力』で配慮した結果なのですが、支持率を考えると当初の併用方式にこだわらず、混乱を陳謝するという意味で『聞く力』をアピールした方が良いのではないかと見ています」(先の記者)

 そもそも10万円という金額自体がケチだと言われているほどだから、ちょっと上積みしてサプライズを狙ってみるくらいが得策かもしれない。

デイリー新潮編集部

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