憲法改正の本音を改憲勢力4政党のキーマンが語る 硬直する自民…国民・玉木代表は「野党も議論すべき」

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自民党の改憲案は

 しかし、憲法審査会での議論が本格化しても、ゴールにたどり着くには別の関門が立ちはだかる。

 改憲勢力の間でも具体的に“何を変えるのか”という点で、足並みが揃っているとは言い難いからだ。

 自民党は安倍政権下の2018年に「4項目」の改憲案をまとめた。その内容は以下の通りである。

(1)9条への自衛隊明記

(2)緊急事態対応の強化

(3)参議院の合区解消

(4)教育環境の充実

 先の衛藤氏によれば、

「自民党としては、憲法の基本3原則は堅持しながら憲法改正をしようと考えています。誤解されている方もいるようですが、憲法全文を変更するのではなく、あくまでも個別の改正と、条項の修正です。9条にしても全てを書き換えるわけではありません。その上で、国防は国家存立の基本なので“自衛隊明記”から手をつけたい。具体的には、新たに〈国及び国民の安全を保つために内閣総理大臣を指揮監督者とする自衛隊を保持する〉〈自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認などの統制に服する〉といった条文を書き加えるべきと考えています」

 さらに、自民の茂木敏充幹事長も読売新聞のインタビュー(11月12日付)において、

〈新型コロナウイルス禍を考えると、緊急事態に対する切迫感は高まっている。衆参の憲法審査会で手順を決めることになるが、具体的な議論に入ることが必要だ〉

 と、緊急事態対応の重要性を強調した。

自民と公明はなぜ足並みが揃わないのか

 だが、公明党の北側氏は次のように指摘する。

「自衛隊を明確に位置付けたいという自民党の考え方は分かりますが、多くの国民は自衛隊の活動を理解し、当然のように合憲と捉えていると思うんです。ごく一部に自衛隊を違憲とする声があるからといって、憲法を改正する必要性については疑問が残ります。むしろ、日本最大の実力組織である自衛隊をどう民主的にコントロールするのか、指揮権は一体どこにあるのかとの観点であれば議論することはできると思います」

 長年かけて自衛隊が国民に親しまれ、認められてきたのだから憲法にきちんと明記すべしとする自民党と、だからこそ、わざわざ明確に位置付けることに慎重な姿勢を崩さない公明党。

 前提は同じであるはずなのに、あべこべな主張になるとは何ともおかしな話である。

 続けて、緊急事態条項については、

「たとえば、衆議院議員の任期が切れそうなタイミングで大災害が起きたとして、現実的に選挙は実施できない。その場合に一定程度、任期を延ばす仕組みなどは検討に値するでしょう。ただ、私権の制限については、現状で何もできないということではありません」(同)

 たしかに、居住、移転および職業選択の自由を規定した憲法22条には、〈公共の福祉に反しない限り〉との制約が付されている。

「加えて、災害対策基本法や、感染症法にも国民の権利を制約する手続きと、その範囲が定められています。憲法を改正すれば全てがうまくいくわけではないし、災害と疫禍では対応も全く異なるので、重要なのは平時のうちから危機管理法制を見直していくことだと考えています」(同)

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