世界王座獲得「尾川堅一」の波乱万丈すぎる4年間 ドーピングで王位剥奪、コロナで試合が連続で中止に

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 尾川堅一(33)というボクサーをご存じだろうか。

 4年前、「週刊新潮」で“シンデレラボクサー”として紹介されたのをご記憶の方もいるかもしれない。

 2017年、IBF世界スーパーフェザー級王者が防衛戦で体重超過してタイトルを剥奪され、王座は空位に。たまたま1、2位が空位で、4位だった尾川に王座決定戦のチャンスが回ってきた。12月にボクシングの聖地・ラスベガスで行われた王座決定戦で見事判定勝ちし、世界王者となった――という彼の出世譚を報じたのだが、実はその後、“シンデレラ”はお伽話もかくやという地獄のドン底に突き落とされていた。

 尾川の尿から禁止薬物が検出されたのだ。

「尾川側は、持病のアトピー性皮膚炎の塗り薬が引っかかったと主張しましたが、原因は不明です」

 とボクシングライターが解説する。

「故意のドーピングではなかった点は認められたとはいえ、ルールはルールということで、試合は無効となり、尾川は1年間の出場停止になりました」

 ボクサーパンツに3人の愛息の名前を刺繍し、家族との写真を頻繁にSNSにアップしている尾川。ベルトを返す際は長男に号泣されたという。そんな尾川は、貯金を取り崩しながら雌伏の時を過ごした。

 処分が解除された19年2月、再起戦で勝利。7月に世界戦挑戦者決定戦が組まれるも、対戦相手の渡航書類不備により延期の末、中止に。その間、2戦して1勝1分、と転げ落ちた階段を昇り直す。だが、そこに新たな敵が現れた。

 新型コロナである。

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