自称「外交の岸田」は外交的ボイコットで苦慮 本音は「来年を考えてなるべく穏便に」

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 岸田文雄首相が得意とする外交政策で苦悩している。米国との同盟関係、中国との経済関係をそれぞれ重視する岸田外交の要諦は米中双方と良好な距離を保つ「日米中三角形」論とされる。だが、米国が来年2月の北京五輪に政府高官らを派遣しない外交的ボイコットを発表し、旗幟を鮮明にしなければならなくなったためだ。自民党内からは対中非難決議の採択を求める声も上がっており、曖昧戦略を好む首相に「踏み絵」が迫っている。

「我が国の対応ですが、オリンピックの意義ですとか、さらには我が国の外交にとっての意義などを総合的に勘案し、自らが判断していきたいと思っています。これが我が国の基本的な姿勢であります」。岸田首相は12月7日、米国の外交的ボイコット発表を踏まえた日本の対応を記者団から問われると、唇を噛みながらこう答えるのが精一杯だった。

 首相は以前から「それぞれの国において、それぞれの立場があり、考えがあると思う。日本は日本の立場で物事を考えていきたい」と曖昧な答弁を見せ、日本独自に判断するとは強調するものの、発信らしい発信は避けてきた。その理由を全国紙政治部記者が語る。

「岸田首相は地理的、歴史的なつながりに加えて、民間の経済的つながりがある中国との関係も重視しているからです。小泉純一郎政権や安倍晋三政権のように米国に追随してばかりでは、日本の主体的な判断とは言えないとの考えが根底にある。しかし、米国と中国のどちらの顔色も気にする外交なんて困難であるとの見方がもっぱらです」

 米国は「それぞれの国の判断に委ねる」としているものの、同盟国に外交的ボイコット決定を通知しており、英国や豪州なども行う。開会中の臨時国会でも「総合的に勘案」ばかり繰り返していれば、いざという時に「頼りにならない日本」という誤ったメッセージを国際社会に与えかねない。前外相の茂木敏充自民党幹事長は12月7日の記者会見で「他国の、それも五輪に関することなのでコメントは控えたい」と述べたが、中国の人権侵害に主要国が厳しい視線を送る中での「ノーコメント砲」は日本の立ち位置を疑わせるには十分だ。

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