「K防疫のまやかし」から韓国人は目覚めるか 幼いナショナリズムが生む国家の蹉跌

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毛利元就の教えが自虐ギャグに

――なぜ、韓国は何にでも「K」を付けるのでしょうか?

鈴置:20世紀の終わり頃まで、韓国企業が輸入品を代替した場合、「国産品」と呼んでいました。ただ、「国産品」という言葉には「粗悪品」「日本製のまがい物」といったイメージが染みついていました。

 1987年のことです。ソウルでバラエティ番組を見ていたらショート・コントをやっていた。おじいさんが矢を折って見せることで兄弟の協力の大事さを諭す、という話です。韓国でも知られる毛利元就の逸話を下敷きにしたのでしょう。

 定型通りにおじいさんが3人の息子の前で1本の矢を折ろうとする。ところが元の逸話と異なり、どんなに力を入れても折れない。結局、疲れはてたおじいさんが息を切らしながら「最近の国産品はよくなったなあ」と感心する、というオチでした。

 一緒に見ていた韓国人は一斉に笑いました。「国産品は粗悪である」という卑下を前提とした笑いであり、しかし同時に「国産品もいつかは良くなる」との希望も感じさせる笑いでした。

 21世紀に入る頃――韓国人が自信を持ち始めた頃から、「国産品」ではなく、名称に「K」を付けて呼ぶのが定番になりました。初めは護衛艦や戦車など、兵器への名付けが目立ちましたが、「Kポップ」といった文化から、果ては防疫という政策にまで広がったのです。「粗悪品」ではなく「世界に冠たる製品」と言いたくなったからでしょう。

目を曇らす韓国人の自信

――まさしく、自信の現れですね。

鈴置:自信を持つのは重要なことですが、危うさもあります。「世界に冠たる韓国」との前提でモノを見るため、歪んだ現実認識が横行するのです。

 日本の感染者数が減るたびに「日本人がインチキしている」と言い募り、自分の弱点から目をそらす――。防疫の面でも「韓国が日本よりも優れている」との神話を守るためです。

 2020年2月から3月にかけてもそうでした。2021年8月をピークに日本の陽性者数と重症者・死亡者の数が急速に減ってきた今も、韓国メディアでは「日本ではPCR検査が有料で受ける人が少ない。実際の感染者はもっと多い」との記事が定番となりました。

 でも、そうだとすると死亡者が発表よりも多いはずです。そこで「日本政府は死亡数も隠蔽している」と主張する専門家も韓国には登場しました。

 感染の波のサイクルは国によって異なりますから、日本の感染者が多いこともあれば韓国の方が多いこともある。でも、「K防疫は世界一」である以上、常に韓国の感染者数の方が少なくないといけないのです、韓国では。

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