「増税は理解不能」 経済学者「ステファニー・ケルトン教授」が唱道する「MMT」は日本を救うか
理解不能
常識破りとも言えるこの理論の主唱者の一人が、ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授である。米民主党の論客であるバーニー・サンダース上院議員の経済政策顧問も務める彼女に、単独インタビューを敢行した。
──日本で19年10月に予定されている消費税10%への引き上げをどう見るか。
「政府支出を手当てするために増税する考えは、誤っているというほかありません。そもそも、政府支出は税による財源確保を必要としないのです。政府は通貨の発行体ですから、もし年金給付の財源が必要なら、その分の通貨を発行すれば対処できるわけです」
増税が妥当な選択となり得るのは、インフレ懸念がある場合だという。
「増税によって消費が抑制されて通貨の価値は上がり、反比例して物価は下がります。増税の目的の一つはインフレコントロールにあるというのがMMTの考え方です。20年間もデフレ下にある日本での増税は理解不能です」
──日本はMMTの成功例か。
「結果的に、日本が世界に対して重要なことを示しているとは言えます。1100兆円を超える債務を抱えながら、低金利を維持しているわけですから」
ただし、ケルトン教授の目には、日本が経済的ポテンシャルを十分に発揮できていないように映っているという。
「週刊新潮」2019年8月8日号「MONEY」欄の有料版では、ケルトン教授のインタビューを詳報する。
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