茨城、山梨、和歌山の地震で嫌な予感 専門家が解説する「南海トラフとの関係」
たった2日間で震度4以上の地震が“4連発”という事態に、驚きの声が上がっている。特にTwitterでは不安な気持ちを訴える投稿が目立った。
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【写真2枚】日本地震予知学会会長で、東海大学教授の長尾年恭氏が作成したグラフでは、12月から地震の発生が急増したことがはっきり分かる
《大地震と関係あるかは別として異常すぎると思います…怖すぎる》
《この3、4日間で地震が茨城県で発生し、山梨でも発生し、和歌山でも発生し…って いよいよ怖いんだが》
《国は富士山噴火、南海トラフとは関係ないって言ってるけど、3.11の時も想定外だったって言ってたし、こういう地震の情報って信用できないのが多い》
最初の地震は12月2日の午前1時58分ごろに発生した。震源地は茨城県南部、地震の規模を示すM(マグニチュード)は5・0だった。茨城県筑西市や栃木県鹿沼市で震度4、東京都内などで震度3を観測。「揺れて目が覚めた」という首都圏の人も多かっただろう。
次は12月3日の午前2時18分ごろに発生した。震源地は山梨県東部・富士五湖で、M4・1。山梨県大月市で震度4、東京都町田市などで震度3を観測した。
更に同じ震源地で午前2時23分にM3・6、午前6時37分にはM4・9の地震が発生した。午前6時の地震では大月市で震度5弱、神奈川県相模原市などで震度4を観測した。
同じ3日の午前9時28分には、紀伊水道を震源地とするM5・4の地震が発生した。和歌山県御坊市で震度5弱、有田市や田辺市で震度4を観測した。
不安の声は当然
気象庁は「山梨の地震は富士山の火山活動とは関係ない」、「山梨の地震と和歌山の地震は関係がない」と発表したが、不安の声が消えないのはTwitterで見た通りだ。
日本地震予知学会会長で東海大学客員教授の長尾年恭氏は、「少なからぬ方が依然として不安な気持ちを抱えているのは当然でしょう。科学的な見地からも、単に“素人の杞憂”と片付けていいとは思いません」と言う。
気象庁が発表したように、茨城、山梨、和歌山の地震は互いに関係なく、富士山の火山活動と無関係なのは間違いないという。
まずは3県の地震が“偶然”だと科学的に断言できる理由から解説してもらった。
「満潮や干潮といった『海洋潮汐(ちょうせき)』はよく知られていますが、地球自体が月や太陽の引力でたわんでいます。1日に2回、地球の中心から地面までの距離が20〜30センチ増えたり、減ったりします。これを『地球潮汐』と呼びます」
複数の地震に関連があるかないかを判断する際、この「地球潮汐」が使われるという。
「地震学では発生した地震による地面の歪みと、地球潮汐で自然に起きる影響を比較します。そして『地球潮汐の影響のほうが大きい』ことが科学的に判断できるのです。そのため気象庁は『山梨と和歌山の地震は無関係です』と発表したわけです」(同・長尾教授)
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